トイレ普及率ほぼ100%達成!欠かせない保健省とのパートナーシップ~「スマイルトイレプロジェクト」

世界には、トイレがないため野外排泄をするか、屋根や壁もなく足場の不安定な穴掘り式トイレを使わざる得ない地域があるーそんな状況を改善するために「スマイルトイレプロジェクト」を実施中!これまでシリーズでご紹介してきた最終回です。(6回目/全6回)

2022年4月21日

「スマイルトイレプロジェクト」とは?~おさらいとここまでの成果 

衛生意識を高めるワークショップ

トイレの建設技術指導

所得向上に向けた農業技術指導

 2019年8月からケニア西部のホーマベイ県にて、トイレ建設によるまちづくり事業「スマイルトイレプロジェクト」がJICA草の根技術協力事業として実施されています(受託団体:認定NPO法人日本ハビタット協会)。このプロジェクトでは衛生的なトイレ建設と手洗い場を設置することで「野外排泄ゼロ」の達成を目指しています。
 この事業は、CLTS手法(*1)を用いた衛生意識変革を促すワークショップ、トイレ建設技術指導、所得向上のための農業技術指導の3つの活動を通して、各家庭にトイレと手洗い場を設置しています。
 2019年-2020年対象の カカングゥトゥ・ウェスト・コミュニティ群では約60%のトイレ普及率だったのが98%まで上昇し、約80%の世帯で手洗い場が設置されました。
 事業は2024年6月まで続きます。あと2年と少し、「清潔なトイレは『まちづくりの特効薬』」(*2)を合言葉に掲げ、本プロジェクトでは、人々が安心して継続して使用できるトイレの建設と手洗い場の設置により衛生環境を改善することで、さらにコミュニティの発展を促していきます。


*1:CTLS手法:Community Led Total Sanitation/住民の衛生意識の気づきと行動変容を促すアプローチ
*2:清潔なトイレができることにより、人々の健康改善だけでなく、貧困の解決や女性のエンパワーメント、ジェンダー平等などにもつながり、住みやすいまちづくりにつながる。

保健省とのパートナーシップ、信頼関係の大切さ  

この事業で協働している保健省職員からメッセージが届きました。村の方々はもちろん、行政の立場である保健省の方々の声からも、様々な関係者の理解、協働の上で実施されている事業であることが実感できます。

リディア・アティエノ氏:保健省職員
(メッセージ動画あり)

◎リディア・アティエノ氏:保健省職員 
 カカングゥトゥ・ウェスト・コミュニティ群の約20村において、衛生意識を高めるワークショップなどを実施したところ、トイレ普及率は98%になりました。清潔なトイレが各家庭に設置されたおかげで下痢になる人が格段に減りました。また、スマイルトイレプロジェクトでは、貧困家庭でもトイレ建設費を負担できるよう、農業を通した経済活性化にも取り組んでいます。バナナ栽培や養鶏により、それを消費したり市場で販売したりすることで人々のライフスタイルが良くなり、トイレ建設が進みました。これからさらに衛生環境が改善していくことが期待されます。
 支援して下さっているJICAと日本ハビタット協会に心より感謝します。

ビクター・オンダゴ氏:保健省職員兼水と手洗いコーディネーター

○ビクター・オンダゴ氏:保健省職員兼水と手洗いコーディネーター
 人々のより良い生活環境のためにはトイレと手洗い場が必要です。そのため、私たちは野外排泄ゼロの達成を目指しています。保健省と日本ハビタット協会が密に連携を進めたことで、カカングゥトゥ・ウェスト・コミュニティ群は98%のトイレ普及率となりました。カボンド地区保健省では、全ての村で野外排泄ゼロの達成をめざしていますが、そのためにはさまざまな団体との協働がとても大切だと考えています。スマイルトイレプロジェクトでは、SATO Panの便器(*3)の導入も進めていて、異臭もしないハエもたからない、とても衛生的なトイレが建設されています。引き続き、日本ハビタット協会と協働し、それぞれのコミュニティの自立性を養いながら、この目標を達成したいと思います。
 これからも応援よろしくおねがいします。ありがとうございます!

* 3:(株)LIXILが開発した手頃な価格で簡単に設置ができる便器。1リットル以下の水でトイレを流すことができ、ハエを寄せ付けない独自のトラップドアシステムが装備されている。