【実施報告】2020年度 教師国内研修 第4回研修

2020年10月26日

10月4日(日)、教師国内研修の第4回研修を実施しました。第3回研修で、海外移住資料館見学と日系ブラジル人へのインタビューなどを通して移住や日系人について理解を深めた参加者10名は、今回は、移住や日系人の歴史・現在に焦点をあて研修を行いました。

【これまでの学びの整理】

輪になって、「今日の気分」を共有する様子

まずは、参加者から「今日の気分」について一言ずつ共有する時間を持ちました。季節が秋にかわってきて服装に戸惑っているという声や今日の研修へ気合をいれてきたなどの声が挙げられました。
その後、前回の研修で意見交換を行った「多文化共生」の理想の姿と、その理想に対する児童生徒の現状について思い出すよう声がけを行い、研修がスタートしました。

【海外移住・日系人についての歴史・現在を知る】

小嶋氏の講義の様子

次に、海外日系人協会の小嶋茂氏を講師にお迎えし、「日本人移民の歴史と日系人の現在」と題して講義を行いました。
講義では、「あなたが知っている日系人は誰?」というお話から、日本人海外移住の歴史、戦後復興支援として日系人が始めたララ物資についてなど、前回の研修での海外移住資料館の見学だけでは知ることのできない情報に加え、小嶋氏が海外移住や日系人の研究に関わる想いなども交えて熱く語っていただきました。
参加者のふりかえりでは、「過去の移住者のことを知ることの意義がわかった」「どうして移民のことを学んでいるのかが深まった」「“コミュニティ”のかかわりが重要だと分かった」などの感想が寄せられました。

【今後の研修での視点を定める】

最後に、次回研修にて行う鶴見地区のフィールドワーク(注1)に向けて、訪問予定先で出会う方々に「聞いてみたいこと」を整理するグループワークを行いました。本研修は「多文化共生~困難を豊かさに変えるプロセス~」をテーマとしており、フィールドワークで出会う方々が抱える「困難」やそれを乗り越えるためのプロセスについてインタビューを実施することを前提として、各参加者が聞きたいことを共有しあう時間となりました。
各グループからは、「自分のアイデンティティはどこにあるか」「自分たちの文化・コミュニティの良いところや大切にしていることはなにか」「日本の社会・学校・企業に対する要望は?」「外国につながりを持つ児童の保護者としてあってよかったサポートは何か」などを聞いてみたいという意見が挙げられました。
また、参加者からの意見を出しあった後には、アドバイザーのかながわ開発教育センター(K-DEC)の小野氏からは、インタビューをするときには、「目的」をもってインタビューするように注意するようにすると聞きたい情報が得られるとの助言をいただきました。

これまでの研修では、国際理解教育/開発教育、SDGsや日本人移民・日系人について様々なインプットを行ってきました。今後、フィールドワークや当事者へのインタビューなどを通して、本研修のテーマについて深めていき、子どもたちに「多文化共生」について考えるきっかけになる参加型学習教材(ワークショップ)の作成を目指します。

(注1)鶴見地区:
在日韓国・朝鮮人の方々、南米から移住して来られた日系人や、沖縄から移住して来られた方々など、異なる背景を持つ多くの方が住んでいる地区。また「多文化共生のまちづくり」を行っている。

【教師国内研修とは】

教師国内研修は、これまでJICA横浜にて実施していた、教師海外研修の代替研修として本年度新たに実施されることとなった研修です。国際理解教育や開発教育に熱心に取り組んでいる小・中・高の教員のみなさんを対象に、web交流、インタビュー、フィールドワーク等を通して、日本人移民や日系人のことを知り、日本に暮らす日系人や外国人の皆さんの現状・課題を学び、その経験をそれぞれの教育現場で、児童・生徒の皆さんに伝え広げていただくことを目的として実施しています。