【実施報告】2020年度 教師国内研修 第2回研修

2020年9月24日

8月23日(日)、教師国内研修の第2回研修を実施いたしました。第1回目の研修で本研修の目的やテーマについて深めた研修参加者10名は、今回は、SDGs(持続可能な開発目標)(注1)のレクチャーやSDGsに関連する実践事例をリサーチする事前課題の共有を通して、「SDGs」について理解を深めました。

【イギリスでの体験も踏まえたSDGsのレクチャー】 

日本のSDGsの達成状況について

 まず、拓殖大学の石川一喜准教授をお迎えし、SDGsについてのレクチャーをしていただきました。石川氏は今年の8月までイギリスの大学で研究員としてSDGsのリサーチをしていました。そのイギリスでの持続可能な社会の実現を目指す生活の経験談なども交えながら、MDGs(ミレニアム開発目標)(注2)からSDGsの変遷についてや、世界全体から見た日本のSDGsの達成状況などをお話いただきました。
 参加者からは「日本のSDGsの達成状況と自分の認識のズレに気づくことができた」や「SDGsについて子どもたちに学習してもらう時には、SDGsを教えるのではなく、結果的にSDGsにつながるような授業を展開したい」などのふりかえりがありました。今後、研修のアウトプットとして「持続可能な社会」をキーワードとした参加可型学習教材を作成する際のヒントをたくさん学べたようでした。

【学校現場でのSDGsの実践事例を調べてシェア】

【画像】 次に、学校現場でのSDGsの実践事例について、参加者が事前に調べてきたものを共有し合いました。各自が調べてきた学校の実践を共有した後、実践者や学習者に質問してみたいこと、および自分ならどのようにアレンジして実践するかについて意見交換を行いました。
 ある実践事例の紹介において、児童・生徒が授業で学ぶだけでなく、途上国に贈り物などを送るまでの行動に移している事例の共有がありました。参加者同士で意見交換を行う中で、「実際に行動に移していて素晴らしい」という声があった一方で、「途上国では日本からの贈り物が迷惑になる場合もある」という意見も出されました。互いの視点を持ち寄ることで、相手の立場に立って考え贈り物を選ぶことや実践において子どもたちが行動につなげる際の留意点などについて深く考えたようでした。

【学校での1シーンの映像から多文化共生を考える】

 続いて、ヨーロッパのとある国に移住した少女を描いた短編映像を視聴しました。その少女はイスラムの宗教でのきまりと学校でのルールとの間で悩んでしまいます。
 映像は10分程度の長さですが、少女が悩む姿、学校の対応、少女以外の生徒の反応が映されます。何気ない学校の1シーンを通して、参加者の皆さんに多文化共生について考えてもらいました。映像を観て感じたことなどを共有したところ、参加者からは、「規則について改めて考えた」という感想や「学校現場で新しく来た生徒が異文化に直面してしまうような同様の状況があった」などと、それぞれの経験や考えたことが語られました。

次回、第3回研修は、初の対面研修としてJICA横浜に集合し、海外移住資料館の見学や日本に暮らす日系人へのインタビューを通して学びます。

【教師国内研修とは】

教師国内研修は、これまでJICA横浜にて実施していた、教師海外研修の代替研修として本年度新たに実施されることとなった研修です。国際理解教育や開発教育に熱心に取り組んでいる小・中・高の教員のみなさんを対象に、web交流、インタビュー、フィールドワーク等を通して、日本人移民や日系人のことを知り、日本に暮らす日系人や外国人の皆さんの現状・課題を学び、その経験をそれぞれの教育現場で、児童・生徒の皆さんに伝え広げていただくことを目的として実施しています。