【実施報告】2020年度 教師国内研修 第8回研修

2021年3月17日

 2月7日(日)、教師国内研修の第8回研修を実施しました。本研修にアドバイザーとしてご協力いただいているかながわ開発教育センター(K-DEC)の小野行雄氏、木下理仁氏、第2回研修でSDGsの講義を担当してくださった、拓殖大学教授の石川一喜氏、第3回研修でインタビューに応じてくださった日系人のMahouri Miyazato氏、昨年度JICA教師海外研修参加者5名をお招きし、本研修参加者10名で作成した「多文化共生をテーマとした、学校現場等で活用できる国際理解教育/開発教育ワークショップ案」の実演とブラッシュアップすることを目指しました。
 改めてワークショップを作成することの楽しさ、ワクワク感、難しさなどの醍醐味を実感した1日になったようです。

ワークショップ案の確認

 午前中は、午後の実演会&フィードバック会に向けて、3つのチームに分かれ前回の研修で作成したワークショップ案の最終確認を行いました。各チーム、進め方の確認やワークショップ実演に向けた準備作業を進めました。

ワークショップ実演&フィードバック会

ワークショップ実演会の様子

ワークショップフィードバックの様子

 午後はいよいよ、研修アドバイザー、これまでの研修の講師の方々や昨年度の教師海外研修の参加者をお招きしてワークショップの実演&フィードバック会です。研修参加者10名は、緊張しながらもこれまでに作成したワークショップの実演を行いました。
 1つ目は、キャンプに行くことを題材として、それぞれが違うバックグラウンドを持つ役割を演じ、価値感や考えが違う集団においての合意形成の必要性や大切さに気づくことをねらいとしたものでした。ワークショップの「ねらい」は、「合意形成がうまくいかない体験」をしてもらうことでした。しかし、実際にワークショップを行うと、各グループで折衷案を見つけていたり、全員が納得した結論を出していたりと、当初の「ねらい」とは異なる結果となったグループもありました。想定と異なる反応から改善点につながる多くのヒントを得ることができたようでした。
 2つ目は、「Yokoso!Japan」と名付けたワークショップで、身近な「食」を題材として、鶴見フィールドワーク等を通じて知った多様性について子どもたちに伝えることをねらいとしたものでした。参加者が様々なバックグラウンドを持った人になりきり、1つのレストランを選ぶ、ロールプレイ形式のワークショップでした。体験した参加者からは、「登場人物の背景が書かれたプロフィールカードの情報が多く、なりきるのが難しい」、「実際の生活においてレストランに一緒に行くほどの仲であれば、食のバックグラウンドなどは知っているのでは」などの意見が上がりました。
 3つ目は、「Let’s 体で表現」と名付けたワークショップで、マイノリティに出会った時の自分自身の行動に気づき、多文化共生のために自分には何ができるのかを考えることをねらいとしたものでした。体の動きを取り入れ、グループで1人だけ違う動きをしていた時にどのような行動をとるのかを体験するものでした。参加者からは、「はじめのグループで指定された動きを変えてはいけないルールかと思ったので、何か手助けになる声かけがあるといい」、「他の2つのワークショップにも応用できそうなものだった」などの意見が上がりました。

今後へ向けて

 研修参加者10名は、今回の実演会&フィードバック会でいただいた気づきや改善点も参考に、3つのワークショップ案をブラッシュアップしていきます。今後、第三者にも活用してもらうことができるワークショップにするには、児童・生徒を教師が目指す「ねらい」にむけて無理な誘導にならないよう留意することを再確認し、今後改善するべき点や各自の役割等を確認して研修は終了しました。

 参加者10名は、今回の研修でいただいたフィードバック等をもとに、ワークショップ案を改善させて完成を目指します。

【教師国内研修とは】

教師国内研修は、これまでJICA横浜にて実施していた、教師海外研修の代替研修として本年度新たに実施されることとなった研修です。国際理解教育や開発教育に熱心に取り組んでいる小・中・高の教員のみなさんを対象に、web交流、インタビュー、フィールドワーク等を通して、日本人移民や日系人のことを知り、日本に暮らす日系人や外国人の皆さんの現状・課題を学び、その経験をそれぞれの教育現場で、児童・生徒の皆さんに伝え広げていただくことを目的として実施しています。