田中理事長が、来日中のアフリカ各国首脳らと個別会談(その1)

−元気なアフリカのインクルーシブ(包摂的)な成長に向けたJICAの協力について協議−

2013年6月3日

田中明彦JICA理事長は、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)へ出席するために来日中のアフリカ各国代表と個別会談を行いました。田中理事長は、2012年4月に理事長に就任した後、タンザニア、ケニアを皮切りに、セネガル、モザンビーク、南アフリカ、ブルキナファソ、ガーナ、ジブチ、エチオピア、南スーダン、スーダンの11ヵ国を訪問し、各国要人と意見交換や現場視察を行いました。今回は、TICAD V が横浜で開催される機会を捉え、各国におけるJICAの活動の現状や、TICAD V 支援策の展開など今後の協力のあり方等について意見を交わすことを目的に、個別会談に臨みました。5月31日および6月1日の会談の概要は以下のとおりです。

5月31日(金)

TICAD V正式開会に先立ち、リベリア共和国のエレン・ジョンソン・サーリフ大統領から始まり、エチオピア連邦民主共和国のハイレマリアム・デザレン首相、セネガル共和国のマッキ—・サル大統領、モザンビーク共和国のアルマンド・エミリオ・ゲブーザ大統領、マラウイ共和国のジョイス・バンダ大統領、コートジボワール共和国のアラサン・ウワタラ大統領の計6ヵ国の首脳との協議を行いました。

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会談中のハイレマリアム・デザレン・エチオピア連邦民主共和国首相(写真左)、田中理事長(左)とマッキー・サル・セネガル共和国大統領(写真中央)、ジョイス・バンダ・マラウイ共和国大統領(写真右) 

エチオピア連邦民主共和国のハイレマリアム・デザレン首相からは、日本が同国の製造業を対象に展開している「カイゼン」普及の協力に対し謝意が示され、「カイゼン」というマインドセットの普及を、民間企業に限らず国家的な取り組みにしていきたいとの意思が表明されました。同様に、セネガル共和国のマッキー・サル大統領からも、日本の人材育成の技術協力に対する高い評価が示され、特に「日本・セネガル職業訓練校」を中心とした、幅広い層の技術者を対象とした支援の産業育成効果について言及がありました。また、これらの国からは、交通や電力インフラ開発に対する日本の円借款の有効活用について期待が示されました。

マラウイ共和国のジョイス・バンダ大統領からは、特に青年海外協力隊の目覚ましい活躍や一村一品運動の普及にかかる協力といった日本の草の根レベルにおける活動について謝意が述べられました。

6月1日(土)

TICAD V本会合1日目は、開会式出席後、南スーダン共和国のサルヴァ・キール・マヤルディト大統領から始まり、スーダン共和国のマグディ・ハサン・ムハマド・ヤーシーン財務国家経済省国務大臣、ブルンジ共和国のピエール・ンクルンジザ大統領、ブルキナファソ国のブレーズ・コンパオレ大統領、ルワンダのポール・カガメ大統領、マリ共和国のディオンクンダ・トラオレ暫定大統領のアフリカ6ヵ国の代表と会談したことに加え、アフリカ連合(AU)、欧州連合(EU)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、といった日本の対アフリカ協力の重要なパートナーの代表との面談を行いました。

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南スーダン共和国のサルヴァ・キール・マヤルディト大統領(左)と田中理事長(写真左)、ディオンクンダ・トラオレ・マリ共和国暫定大統領(右)と田中理事長(写真中央)、ブレーズ・コンパオレ・ブルキナファソ大統領(右)と田中理事長(写真右)

南スーダン共和国のサルヴァ・キール・マヤルディト大統領に対しては、JICAは、中長期的には南北スーダン間の物流促進を通じた経済関係深化などを通じて、両国の良好な関係構築に貢献していく旨表明しました。

2013年3月のクーデター発生後、新規経済協力が停止となっていたマリ共和国のディオンクンダ・トラオレ暫定大統領からは、同国の治安が回復され次第、日本は早期に協力事業再開をする方向であることについて、また、JICAがTICAD Vサイドイベントとして5月に「サヘル・サハラ地域専門家会合」を開催し、同地域における平和と安定の定着に向けた支援策についての協議を主導したことについて謝意が述べられました。

ブルキナファソ国のブレーズ・コンパオレ大統領は、JICAが支援を強化している教育および農業分野は、人々の生活に直結する分野であり、同国の基盤強化に大いに役立っていると述べました。また、青年海外協力隊事業については、活動の直接的な効果のみならず、日本人ボランティアの仕事に対する姿勢などから学ぶことが多いとの言及がありました。