第5回アフリカ開発会議(TICAD V: The Fifth Tokyo International Conference on African Development)が閉幕

−アフリカの包摂的かつダイナミックな開発を目指して−

2013年6月3日

6月1日より横浜で開催されていた第5回アフリカ開発会議(TICAD V)本会合は、最終日の6月3日に、本会議の成果として、『横浜宣言2013』および『横浜行動計画2013-2017』を採択し、閉幕しました。JICAは、5月31日から6月3日の4日間にわたり、TICAD V公式イベントとして、「アフリカの包摂的かつダイナミックな開発」をテーマに19のセミナーを開催しました。JICAは、会期中に発表された日本の今後の支援策に基づき、アフリカ支援をさらに進めていきます。

1. 横浜宣言2013と横浜行動計画2013-2017の採択

6月3日、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)が閉幕し、本会議の成果として、『横浜宣言2013』および『横浜行動計画2013-2017』が採択されました。このなかでは、向こう5年間のアフリカ開発の方向性として、「強固で持続的な経済成長」「包摂的で強靭な社会開発」「平和と安定」の3本柱のもと、(1)民間セクター主導の成長、(2)成長基盤整備の加速化、(3)農業従事者のエンパワメント、(4)持続可能かつ強靭な成長の促進、(5)万人が成長の恩恵を受ける社会開発、(6)平和と安定、グッドガバナンスの定着の6つの戦略的取り組み課題が掲げられ、アフリカ諸国およびその他パートナーを含むTICAD V参加者が、一致団結した行動を通じてこれらの実現を目指すことに合意しました。

JICAは、TICAD20年のプロセスを通じて蓄積してきた現場での経験や知見を活用しながら、インフラ開発のための65億ドルの資金協力、産業開発のための3万人の人材育成、理数科教育や学校運営改善を通じた2,000万人の子どものための教育の質の向上、5万人の小規模農民に対する「売るために作る」農業の促進といったTICAD Vの具体的支援策に貢献していきます。

2. 19のセミナー開催:アフリカの包摂的かつダイナミックな開発を目指して

JICAは、TICAD V公式イベントとして、「アフリカの包摂的かつダイナミックな開発」をテーマに19のセミナーを開催しました。5月31日から6月3日の4日間にわたり、産業開発、貿易・投資促進に加え、雇用、保健、教育、平和と安定、環境問題等の課題への効果的対応に向けた議論が活発に行われました。

6月2日に開催されたJICA研究所およびコロンビア大学政策対話イニシアチブ共同研究発表会にて冒頭挨拶を行う田中理事長

この中でJICAは、急成長を遂げるアフリカ経済にとって、持続可能な開発を推進するための最重要テーマは、産業開発の促進による経済構造の多様化に加え、若年層の雇用創出と人材育成であるという認識のもと、本会合2日目の6月2日に、「アフリカの経済構造転換(Economic Transformation of Africa)」をテーマに連続セミナーを開催しました。

同セミナーでは、JICA研究所がコロンビア大学政策対話イニシアチブ(Initiative for Policy Dialogue: IPD)と協力して取り組んできた、アフリカの産業開発についての合同研究の成果が、ノーベル経済学賞受賞者であるジョセフ・スティグリッツ教授を中心に発表されました。続いて、アリー・ボンゴ・オンディンバ・ガボン共和国大統領、ジェイコブ・ズマ・南アフリカ共和国大統領、ジャカヤ・キクウェテ・タンザニア連合共和国大統領の3元首に加え、世界銀行、アフリカ開発銀行、マサチューセッツ工科大学よりパネリストを迎え、「若年層雇用」についてのパネルディスカッションを行い、田中明彦JICA理事長もパネリストとして議論に参加しました。最後に、同連続セミナーでの議論を踏まえ、堂道秀明JICA副理事長より、JICAがTICAD Vからの5年間を通じて、特にインフラ開発、産業人材育成、理数科教育およびビジネスのための農業促進に重点を置き、アフリカの包摂的な成長に向けた産業開発に貢献していく旨発表しました。

若年層雇用に関するパネルディスカッション:パネリスト(アリー・ボンゴ・オンディンバ ガボン共和国大統領、ジェイコブ・ズマ 南アフリカ共和国大統領、ジャカヤ・キクウェテ タンザニア連合共和国大統領の3元首および田中理事長)

このほかJICAは、TICAD V開催期間を通じて、さまざまなセミナーを主催・共催しました。上記連続セミナー以外にも、高等教育、投資促進・開発課題解決・BOPビジネスにおける官民連携、南南協力/三角協力、国民皆“保健”(UHC:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)、地方行政による平和構築、気候変動に対するレジリエンス、包摂的な開発と障害者、回廊開発、開発金融機関の役割、食糧安全保障/農業開発に向けた稲作振興、2050年に向けたアフリカ開発の課題、女性の地位向上、持続的な森林経営などのテーマにおけるアフリカの現状と課題、そして展望について、国際的な議論をリードすべく、積極的に知的貢献に取り組みました。

今後も、JICAは世界最大規模の二国間援助機関として、そして『横浜宣言2013』および『横浜行動計画2013-2017』の主要な実施機関のひとつとして、アフリカ各国政府やアフリカ連合、国連や世界銀行をはじめとする国際機関、民間企業、市民社会との連携を強め、アフリカにおける包摂的かつダイナミックな開発に向けた支援を行っていきます。


【JICAセミナーシリーズ(TICADV公式イベント)】

5月31日(金)

6月1日(土)

6月2日(日)

6月3日(月)


【その他JICA主催のTICAD V公式サイドイベント】

5月31日(金)

6月1日(土)

【セミナーの発表資料等についてはこちらからダウンロードいただけます】