田中理事長が来日中のアフリカ各国首脳らと個別会談(その2)

−元気なアフリカの包摂的成長に向けたJICAの協力について協議−

2013年6月4日

JICAは、横浜で6月1日から3日にかけて開催された第5回アフリカ開発会議(TICAD V)会期中に、総計76件の個別会談を行いました。JICAは、同会議に出席するためにアフリカ各国から来日した39人の国家元首・首脳級のうち、27人を含むアフリカ44ヵ国の代表と面談を行い、各国における日本の協力の現状や、今後の支援の方向性について意見を交わしました。また、JICAの対アフリカ協力の重要なパートナーであるアフリカ地域機関9機関に加え、国際機関10機関とも今後のアフリカにおける連携の方向性等について協議をしました。6月2日および3日に行った会談の概要は、以下の通りです。

6月2日(日)

TICAD V本会合2日目、ボツワナ共和国のイアン・カーマ大統領に始まり、エジプト・アラブ共和国のヒシャーム・カンディール首相、ナイジェリア連邦共和国のモハメド・ナマディ・サンボ副大統領、ソマリア連邦共和国のハッサン・シェイク・モハムッド大統領、ガーナ共和国のジョン・ドラマニ・マハマ大統領の計5ヵ国の首脳との協議を行いました。

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会談中のヒシャーム・カンディール・エジプト首相(写真左)、ハッサン・シェイク・モハメッド・ソマリア大統領(左)と田中理事長(写真中央)、ジョン・ドラマニ・マハマ・ガーナ大統領(右)と田中理事長(写真右)

約20年間の無政府状態が続いたのち、2012年に新連邦政府が樹立されたソマリア連邦共和国のハッサン・シェイク・モハメッド大統領との会談を行いました。同大統領からは、前政権崩壊以前の1990年以前のJICAの協力、また、紛争時においても日本が支援物資等の支援を通じて寄り添い続けたことについて謝意が述べられるとともに、今後の国づくりへのJICAの関与に対する期待が示されました。20年にわたる紛争により教育の機会が失われてしまったことから、人材育成、特に若年層の職業訓練が喫緊の課題であることが共有されました。JICAは、日本の二国間支援再開が決定されたことを受け、アフガニスタン、イラク、南スーダンのようなポスト・コンフリクト国支援で集積したノウハウを生かし、インフラのリハビリ、能力強化に対する支援を始めるための議論を進めていく旨表明しました。

エジプト・アラブ共和国のヒシャーム・カンディール首相に対しては、民主プロセスの進展、国民生活の向上および社会的正義実現のための改革など、国家として重要な局面において舵取りをされていることに敬意を示すと共に、日本の経験等を踏まえて新しい国作りに取り組むエジプトを、引き続き支援する旨表明しました。これに対しカンディール首相からは、日本型の工学教育の特長を生かした国立大学「日・エジプト科学技術大学」(E-JUST)は、エジプトにとって特に重要な事業であるとともに、電力、農業分野等のインフラ整備に対する日本の支援を期待する旨の発言がありました。

6月3日(月)

TICAD V本会合最終日には、チュニジア共和国のモンセフ・マルズーキ大統領に始まり、タンザニア連合共和国のジョカヤ・ムリショ・キクウエテ大統領、トーゴ共和国のフォール・エッソジムナ・ニャシンベ大統領、ベナン共和国のボニ・ヤイ大統領、アルジェリア民主人民共和国のベン・サラ国民議会議長、ケニア共和国のウィリアム・ルト副大統領、ウガンダのヨウェリ・カグタ・ムセベニ大統領の計7ヵ国の代表との協議のほか、アフリカ地域の開発を担うアフリカ開発銀行のドナルド・カベルカ総裁と今後のパートナーシップ等について協議を行いました。

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田中理事長(左)とジョカヤ・ムリショ・キクウエテ・タンザニア大統領(写真左)、国際連合の潘基文事務総長(右)と田中理事長(写真中央)、アフリカ連合委員会のコサザナ・ドラミニ・ズマ委員長(写真右)

ケニア共和国のウィリアム・アラップ・ルト副大統領からは、TICAD V開会式のオープニングスピーチにて安倍総理大臣より紹介のあった、小規模園芸農民組織強化計画プロジェクト(SHEP)の相川専門員の活躍についてよく理解している旨、謝意が示されました。これに対し、田中理事長からは、ケニアにおいては南南協力として他のアフリカ諸国と共有すべき成果が蓄積されており、特にSHEPモデルについては他国への普及へ向けたプロセスを進めていくことに理解を求めました。

また、JICAはTICAD創設時からの共催者である国際連合の潘基文事務総長や、新たな共催者としてTICAD Vに参加したアフリカ連合委員会のンコサザナ・ドラミニ・ズマ委員長とも個別協議を行いました。

JICAは、今回のTICAD V期間中に行ったアフリカ各国代表や国際機関などの開発パートナーとの意見交換の成果を生かし、今後も対話を続けていきながら、アフリカにおける包摂的かつダイナミックな開発に向けた支援を行っていきます。