終了プロジェクト

アフリカにおける民族多様性と経済的不安定

民族の多様性と経済成長については、計量的に負の相関があると言われますが、なぜそのような結果になるのかは明らかにされていません。神戸大学との共同プロジェクトである本研究では経済学、政治学、人類学などを学際的に組み合わせ、世界の多様な研究者30名以上の協力のもと、アフリカに焦点を当てて民族の多様性と経済的な不安定性の間のリンケージについて包括的に研究することで、このような疑問に答えることを目指しました。その一環として、民族問題を一つの原因として2007年末に深刻な紛争が発生したケニアの事例を特に深く分析しました。本研究を通して、民族多様性と経済不安定性の関係についての包括的な理解を基に、多様性の中での経済政策とガバナンスのあり方について政策的な含意を導出しました。

研究プロジェクトから導き出されうる政策的含意として、①政治的リーダーが自らの政治目的達成のために民族間の敵対心を煽るような行為を制御する分権化を目指した制度作り、②民族多様性を機会ととらえて民族の相違によらない社会を目指した国家建設への投資、③民族間の水平的不平等をもたらす原因に直接働きかけるような土地政策、天然資源管理政策、流入する外国資金の適切な管理、などが挙げられます。

本研究の成果として、アフリカの民族多様性と不安定な政治経済状況との関係に着目した10本のワーキングペーパーが発表され、研究成果をまとめた2冊の書籍が発刊されました。

研究領域
経済成長と貧困削減
研究期間
2009年04月01日 から 2013年03月31日
主査
日野 博之、 高橋 基樹
連携機関

研究成果(出版物)