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【TICAD9に向けたアフリカ研究紹介シリーズ第2号】5月25日はアフリカの日

2025.05.23

(写真:JICA/今村健志朗)

1963年5月25日、アフリカ30ヵ国による「アフリカ統一機構(Organization of African Unity: OAU、現在のアフリカ連合の前身)」の設立決定がなされたことを記念して、5月25日は「アフリカの日 」とされています。

2025年8月には、第9回アフリカ開発会議(The Ninth Tokyo International Conference on African Development: TICAD9) が日本で開催されます。それに向け、JICA緒方研究所のアフリカに関する取り組みをシリーズで発信していきます。TICAD9が掲げるテーマ「アフリカと共に革新的な解決策を共創する」の「社会」「平和と安定」「経済」の3つの柱のうち、今回はアフリカの「経済」に関する取り組みを取り上げます。

アフリカは、推定15億の人口を抱え、今後の大きな成長が期待される大陸です。その一方で、若者の収入を支える雇用不足や経済成長に伴って広がる格差など、経済構造面でのさまざまな課題にも直面しています。JICA緒方研究所では、そうした課題解決に向けたさまざまな研究を進めています。その一部を紹介します。

アフリカの経済構造転換と質の高い成長に関する研究

報告書「Transforming and Building Resilient Economies in Africa: Resetting Priorities for the Policy Agenda in the Post-Covid 19 Era」

前回のTICAD8に向けて、アフリカのシンクタンクであるアフリカ経済構造転換センター(African Center for Economic Transformation: ACET)と共同で取りまとめた、アフリカの経済構造転換に関する調査報告書です。世界とアフリカの動向における経済的レジリエンスに関連づけ、現在や今後の政策に資する議論を展開しています。

書籍『The Quality of Growth in Africa』

ジョセフ・スティグリッツ 教授が率いるコロンビア大学政策対話イニシアチブ(Initiative for Policy Dialogue:IPD)との第4次共同研究の成果である本書は、TICAD7開催に合わせて発刊されました。アフリカにおける「質の高い成長」の在るべき姿を、経済の数値的な視点のみならず、幅広い視点から論じています。

研究プロジェクト「サブサハラ・アフリカの産業構造転換とインフラ投資・産業政策」

サブサハラ・アフリカ各国が力を入れ、国際開発ドナーも支援を行っているのが、道路網の整備・拡張を通じた国内外のコネクティビティ―(連結性)の向上です。本研究は、主にタンザニアをフィールドに、これまでの道路網整備や域内貿易の円滑化の段階的な取り組みと、タンザニア各地の産業構造や土地利用変化の間にどのような因果関係があるかを明らかにすることを目指しています。

研究プロジェクト「構造転換促進における土地所有権保障の役割:非農業活動、国内・国際移住に関する実証分析」

1998年に開始されたエチオピアでの土地所有権保障プログラムに焦点を当て、土地所有権の保障を強化する証明書の発行が、非正規雇用の可能性や、農業および農業以外の活動に費やす時間の配分、国内/国際移住に影響を与えたかどうかなどを研究しています。

研究プロジェクト「アフリカにおける民族多様性と経済的不安定」

民族の多様性と経済成長には、計量的に負の相関があると言われるのはなぜか?この問いに答えるため、神戸大学との共同プロジェクトである本研究では、ケニアの事例などをもとに、アフリカの民族の多様性と経済的な不安定性の間のリンケージを包括的に研究しました。

アフリカにおけるインクルーシブな経済に関する研究

研究プロジェクト「南アフリカにおける障害者の貧困と雇用に関する実証研究」

障害者に関するデータが整備されている南アフリカを対象に、障害者の貧困および雇用に関して実証分析を行いました。障害者の貧困状況や雇用に係る課題を定量的に示すことで、同国における障害問題への意識をさらに高め、障害包摂的な開発政策の策定や政策実施面での強化に貢献することを目指しました。

フィールドレポートNo.4「マラウイ農村部におけるインフォーマルな定期積立型貯蓄・貸付スキームが担う経済的・社会的役割」

マラウイでは、商業銀行やマイクロファイナンス機関による貯蓄・融資サービスとは別に、農民によって自発的に結成・組織されたインフォーマルな定期積立型貯蓄・貸付スキームが浸透しています。本レポートでは、その要因や、実際の運営および維持管理システムについて、フィールドワークをもとに分析しました。

アフリカにおける民間セクター開発に関する研究

書籍『Promoting Quality and Productivity Improvement/ Kaizen in Africa』

JICAは2006年から現在に至るまでアフリカ諸国でカイゼン普及支援を実施してきたほか、アフリカ各国の組織とも連携しつつ、各国の実施機関や企業のカイゼン普及に向けた取り組みを支援しています。本書は、日本発のカイゼンをアフリカに適した方法でどのように効果的に普及できるかを考察しています。

ナレッジ・レポートNo.7「アフリカへのビジネス展開における日本企業のリスクの認識とアプローチについて-コーポレート・ソーシャル・アントレプレナーシップの視点から」

将来の市場としてアフリカの成長に期待が寄せられる中で、日本企業のアフリカへのビジネス展開は進んでいません。そこで本レポートでは、アフリカでのビジネスをCSE(Corporate Social Entrepreneurship)の観点から捉え、日本企業のリスクに対するアプローチを調査・分析しています。

AUDA-NEPAD PBT・JICA緒方研究所合同ウェビナー「アフリカへのビジネス展開における日本企業のリスク認識とアプローチ」開催

JICA緒方研究所とアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)のポリシー・ブリッジ・タンク(PBT)は、アフリカでのビジネスに対する日本企業のリスク認識とアプローチについて合同ウェビナーを開催し、上記のナレッジレポートNo.7の提言を紹介しました。アフリカでビジネスを展開する上での鍵、成功要因とリスク要因、投資環境の改善など、さまざまなテーマで議論が行われました。

アフリカにおける農業に関する研究

【TICAD9に向けたアフリカ研究紹介シリーズ第1号】アフリカの発展を支える農業

アフリカの労働人口の約半数が従事する非常に重要な産業である農業。今後も生産年齢人口が増え続けるアフリカでは、健全な経済成長を遂げる上でも、さらなる発展が期待されています。JICA緒方研究所によるアフリカの農業開発や食料安全保障に関連したさまざまな研究を紹介しています。

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