No.7 アフリカへのビジネス展開における 日本企業のリスクの認識とアプローチについて -コーポレート・ソーシャル・アントレプレナーシップの視点から
JICA緒方研究所について
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アフリカへの援助の在り方が転換点を迎え将来の市場としての成長に期待が寄せられる中で、日本企業のアフリカへのリスクの懸念からビジネス展開が進んでいない現状がある。そこでアフリカでのビジネスをCSE(Corporate Social Entrepreneurship)の観点から捉えて、「これから展開を目指す企業群」および「既に展開している企業群」という2つの企業群についてリスクに対するアプローチを調査・分析したところ、5つの要素が明らかになった。第一にビジネスリスクを全て予見することよりも発生時に柔軟に対応できる組織体制を整える。第二にCSE事業に必要なリソースを全て社内から探すのではなく推進者が社外ネットワークを拡張しながら獲得する。第三に日本人のネガティブな「アフリカ・スキーマ」は現地視察などの一次情報によって解消しうる。第四に現地公的機関との連携はリスク軽減効果が高いため、それに向けた国際機関や日本の公的機関の後方支援が有効である。第五にCSE事業の是非は最終的には企業理念との整合性に関わるため、経営層が長期的な方針を示せる組織が望ましく、オーナー企業は有利な傾向がある。それらを踏まえ、企業側とそれを支援する公的機関側の双方へインプリケーションを提示している。
キーワード: コーポレート・ソーシャル・アントレプレナーシップ、リスク、アフリカ・スキーマ、企業理念、マネジメント
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