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揺らぐ開発協力 ―地図なき時代に描く日本のODA

掲載日:2025.07.07

セミナー |

(写真:JICA/久野武志)

セミナー概要

政府開発援助(ODA)を取り巻く環境が世界で大きく変化しています。これまで最大規模のODA拠出国であった米国では、トランプ政権のもとUSAIDの解体や対外援助の縮小・凍結がなされています。また、欧州ではウクライナ支援や難民の受け入れなど様々な課題に対応するためODAの使途が多様化している一方、ODA予算を削減する傾向が続いています。他方、従来ODAの受け取り手であった新興国・途上国は多様化が進み、「グローバルサウス」という言葉に象徴されるように、その政治的・経済的存在感が増してきています。

2025年には世界のODA額の大幅な減少が予想されており、欧米ではその影響を見極めようとする議論とともに、ODAの意義・ナラティブをあらためて再構築しようとする動きがあります。このような中、日本も、ただ静観するだけではなく、ODAのあり方や将来像を多角的に議論していくことが大切です。

本ウェビナーでは、このような問題意識を背景に、まずJICAアメリカ合衆国事務所およびフランス事務所より、欧米におけるODAの動きとそれに関連する議論について、最新の状況を報告します。そのうえで、ディスカッションでは政策研究大学院大学の大野泉名誉教授、地経学研究所の相良祥之主任研究員を迎え、JICA理事の原昌平を交えて、日本のODAのあり方について多様な観点から議論を深めます。

登壇者紹介

田中賢子 ( JICA アメリカ合衆国事務所長)
2022年7月より現職。激動のワシントンDCにて、米国政治、国際援助潮流、地政学的動向等の分析・発信を行う。過去の経歴は、JICA東南アジア・大洋州部(フィリピン・大洋州担当次長、インドネシア・マレーシア担当課長)、アジア開発銀行上級運輸専門官等。
Ep.73 USAID解体 国際支援の現場では何が起きている?-週刊 ワシントン(Apple Podcast)
Ep.74 コストカッターのマスク氏がついに政権離脱 国際支援はどうなる? - 週刊 ワシントン (Apple Podcast)

原田徹也  ( JICA フランス事務所長)
JICAフランス事務所長兼JICA緒方研究所主席研究員。フランスではOECD開発援助委員会や、債務再編を議論するパリクラブの会議に参加のほか、欧州政治経済情報の分析・発信を行う。JICA緒方研究所では途上国の産業構造転換の研究やJICA事業のインパクト評価を実施、また途上国の債務問題について発信・解説。
サブサハラ・アフリカの産業構造転換とインフラ投資・産業政策
原田徹也のニュース・発言など最新記事(日本経済新聞ウェブサイト)

大野泉  (政策研究大学院大学 名誉教授)
専門は国際開発政策、開発協力、開発とビジネス。国際協力事業団(現JICA)、世界銀行、海外経済協力基金、国際協力銀行を経て、2002年から本学教授。24年より現職。2018年10月~20年9月までJICA緒方研究所所長、現在、同研究所シニア・リサーチ・アドバイザー。外務省「開発のための新しい資金動員に関する有識者会議」座長。
GRIPS開発フォーラムでの活動記事(GDFウェブサイト)
マスク氏が解体をめざすUSAIDとは 役割と変遷、開発専門家に聞く( 朝日新聞ウェブサイト)

相良祥之  (地経学研究所 主任研究員)
DeNA、JICA、国連、外務省を経て現職。研究分野は国際政治経済、経済安全保障、国際紛争。慶應義塾大学法学部卒、東京大学公共政策大学院修了。主な著作に『国際政治経済学 第2版』(共著、名古屋大学出版会、2024年)、「日本の新型コロナウイルス対策」日本公共政策学会 編『公共政策学事典』(丸善出版、2024年)。

原昌平  ( JICA 理事)
JICA国際援助協調企画室長、情報システム室長、南アジア部長、民間連携事業部長、企画部長を経て2024年5月からJICA理事。主な担当は南アジア地域と中東・欧州地域。企画部在籍時に、開発協力大綱の改定やJICA法改正に関わった。
開発協力大綱改定に思うこと ~不易流行~
やっぱり「現場」。やっぱり「人」。
「水平方向で真の共創関係築く ODA・JICAが目指す方向性」
辻 愛沙子とJICAが語る世界と日本 「普通って何? らしさって何?」 | CREAWEB x 文春オンライン特別企画ソーシャルビジネス×ジェンダー平等がもたらす地球の未来(CREAウェブサイト)

亀井温子  ( JICA 緒方研究所副所長)
民間企業を経て1998年にJICA入構。ネパール事務所、南アジア部、JICA緒方貞子平和開発研究所、ジェンダー平等・貧困削減推進室室長、カンボジア事務所長、人間開発部長などを経て、2025年4月より現職。関心分野は教育開発、ジェンダーと開発、南アジア地域。

プログラム

20:00-20:05 オープニング&趣旨説明
・JICA緒方研究所副所長 亀井温子

20:05-20:15 【米国におけるODAの動き】
米国のODA最新版レポート
USAIDの解体・凍結の背景と今後の見通し  
世銀・IMFの動向
・JICAアメリカ合衆国事務所長 田中賢子

20:15-20:25 【欧州におけるODAの動き】
欧州のジレンマ   
揺れる欧州の援助観
第4回開発資金国際会議(FfD4)レポート
・JICAフランス事務所長 原田徹也

20:25-21:00 ディスカッション
欧米の変化の中での日本のODA   
ODAのナラティブはどうあるべきか   
効果的な援助とは
・政策研究大学院大学名誉教授 大野泉
・地経学研究所主任研究員 相良祥之
・JICA理事 原昌平
・JICA緒方研究所副所長 亀井温子(モデレーター)

21:00-21:20 質疑応答

参加申し込み

以下のリンクからお申し込みください。
※お申込みは2025年7月22日(火)12:00(正午)で締め切らせていただきます。

お問い合わせ

JICA緒方貞子平和開発研究所(担当:津川)
メール: dritrp@jica.go.jp