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書籍発刊セミナー『途上国の産業開発と日本の経験 翻訳的適応から国際協力を考える』

掲載日:2025.11.04

セミナー |

プロジェクト・ヒストリー『品質を追求しキルギスのブランドを世界へ―途上国支援の新たな可能性「一村一品プロジェクト」』出版記念セミナー

セミナー概要

情報通信技術の進展により開発途上国による外国知識へのアクセスは容易になり、また自らの開発経験を積極的に発信する国は、新興国を含め、増えています。しかし、国際社会が推奨する「ベストプラクティス」(what)から自国に有効な知識を選び、現地社会に適したモデルを構築する「開発を学ぶ」方法論(how)は、いまだ十分に解明されていません。

日本は「開発を学ぶ側」と「開発を伝える側」の二重の立場をもち、長年にわたる自らの開発・開発協力の経験を通じて、独自の開発の視点と方法を培ってきました。また戦後、日本は政策支援から個々の施策の実行に至るまで、幅広い分野で産業開発協力に積極的に取り組んできました。こうした背景を踏まえ、JICA緒方研究所は、研究プロジェクト「日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析 」を立ち上げ、「翻訳的適応(translative adaptation)」を鍵概念とし、理論的枠組みと具体的事例に基づき日本の産業開発および開発協力を分析してきました。

この度、その最終成果として、和文書籍『途上国の産業開発と日本の経験 翻訳的適応から国際協力を考える』 (日本評論社)を発刊しました。本書は、途上国の政策関係者や海外の開発協力実務者・研究者への発信を念頭において、2023年に刊行した英語書籍『Introducing Foreign Models for Development: Japanese Experience and Cooperation in the Age of New Technology』 を日本の読者向けに再構成し、新たな章を加えたものです。途上国が外国の知見を自国に効果的に応用する方法に焦点を当てるとともに、開発パートナーにとっても、翻訳的適応の視点が協力の質を高める鍵であることを強調しています。さらに、日本が成熟した開発パートナーとして、今後どのように知的貢献すべきかを考察しています。

本セミナーでは、まず編者が本書の内容を紹介した後、開発経済学や翻訳的適応の観点から有識者よりコメントをいただきます。続いて、研究と実践で経験豊かな編著者・JICAの実務者を交え、「共創の時代の翻訳的適応」をテーマに、これからの日本の開発協力について議論します。「開発を学ぶ、開発を伝える」プロセスを重視する意義、日本が自らの産業開発や開発協力の経験をふまえて発信すべきメッセージ、そして未来の開発協力のあり方を考える機会となれば幸いです。

プログラム

1. 開会挨拶
2. 書籍紹介
3. コメント
4. ディスカッション
5. 質疑応答

登壇者

<開会挨拶>
峯陽一  JICA緒方研究所 研究所長

<書籍紹介>
大野泉  政策研究大学院大学(GRIPS)名誉教授 / JICA緒方研究所 シニア・リサーチ・アドバイザー

<コメント>
山形辰史 立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋学部 教授
前川啓治 筑波大学 名誉教授

<ディスカッション:共創の時代の翻訳的適応、これからの開発協力>
神公明 JICA南アフリカ共和国品質生産性向上プロジェクト チーフアドバイザー
天津邦明 立命館アジア太平洋大学 サステイナビリティ観光学部 教授
森純一 JICAエジプト・日本高専プロジェクト チーフアドバイザー・共同プロジェクトダイレクター
奥本恵世 JICA経済開発部民間セクター開発グループ 参事役

モデレーター:山田実 JICA管理部 審議役/次長

参加申し込み

以下のリンクからお申し込みください。
※お申込みは2025年12月10日(水)12:00(正午)で締め切らせていただきます。

お問い合わせ

JICA緒方貞子平和開発研究所(担当:金)
Eメール:dritrp@jica.go.jp