『Human Security Norms in East Asia』
多くの東アジアの国々が高い経済成長を実現しています。しかし、その経済成長が必ずしも人間の安全保障の確保につながっているとはいえません。人間の安全保障を実現するために、それぞれの国はどのような手段を講じることができるのでしょうか、また、人々はどのような課題に直面しているのでしょうか。
本書では、自然災害、感染症、武力衝突、環境汚染、極度の貧困など、多くの脅威に対して脆弱性を抱える東アジア地域(ASEAN+3/ ASEAN諸国および日本、中国、韓国)で、人間の安全保障の概念がどのように受け入れられ、批判され、修正され、広まっていったのかを明らかにしています。
東アジアでは、人間の安全保障をとりまく多様なステークホルダーと価値観が存在する独特の文脈の中で、人々は人間の安全保障の概念を、特に尊厳とエンパワーメントといった要素に重点を置いて解釈しようとする傾向がある、と本書では論じています。また本書は、「東アジアにおける人間の安全保障には、国家のオーナーシップとともに、尊厳の要素が最も重要な価値として付け加えられている」と主張しています。
本書は、JICA研究所の研究プロジェクト「東アジアにおける人間の安全保障の実践」の成果をまとめたもので、国別の研究結果を提示しています。同研究プロジェクト第2フェーズの研究成果をまとめ、課題別の研究成果を提示した書籍『Human Security and Cross-Border Cooperation in East Asia』も出版されています。
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