No.17 既存ドナーはいかにして新興ドナーのパートナーと成り得るか?―インドネシアとタイによる開発協力からの示唆―
JICA緒方研究所について
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近年、国際開発協力分野においては、新興国ドナーの台頭により、従来の経済協力開発機構・開発援助委員会(Organisation for Economic Co-operation and Development - Development Assistance Committee:OECD-DAC)ドナーを中心とした援助構造が大きく変化しつつある。本レポートは、東南アジア地域における代表的な新興国ドナーであるインドネシアおよびタイを事例として、両国の開発援助制度、援助哲学、実務上の課題を整理、分析するとともに、既存ドナー、とりわけ日本、国際協力機構(JICA)との援助協調の可能性を検討することを目的とする。
本レポートは、文献調査に加え、インドネシアおよびタイの援助関係者へのインタビューおよび質問票調査に基づき分析を行った。その結果、両国はいずれも自国の歴史的経験や理念を基盤とした独自の援助哲学を確立し、新興ドナーとしての位置づけを強めつつある一方で、実施能力、財源、人材、評価手法、援助統計管理、国際規範との整合性やその調整(バランシング)といった多面的な課題を抱えていることが明らかとなった。
新興ドナーにとって既存ドナーとの援助協調は、単なる資源補完にとどまらず、制度構築、評価能力向上、官民連携の推進、国際規範への対応といった能力強化の観点からも大きな意義を有することが示唆される。今後、国際開発協力の質をより一層高めていくためには、新興ドナーと既存ドナーが相互学習を進め、それぞれの援助哲学と国際規範との均衡を意識しつつ、具体的かつ実践的な協調の枠組みを構築していくことが重要である。
キーワード:新興国との知識共創、新興ドナー、援助協調、インドネシア、タイ