実施中プロジェクト
新興国の台頭により、開発協力のプレーヤーが増え、自らの開発経験やノウハウを積極的に発信する取り組みが拡大するなど、開発協力市場の競争が激化しています。また、近年の開発課題の複雑化やデジタル化の進展に伴い、先進国から開発途上国への技術や知識の移転といった一方通行の援助だけでは、開発途上国が直面する課題に対応できなくなっています。かかる状況の中で、日本は「成熟」した開発パートナーとして、自らの比較優位を明確化し、知的貢献の在り方をアップグレードするとともに、より最近の開発経験を有する新興国との「共創」を通じて、今後の開発途上国への開発協力の質を高めていく必要があります。
これまで、日本は自らの特徴的なアプローチとして、翻訳的適応、キャパシティデベロップメントなど、暗黙知の形式化に努めてきました。他方、新興国も、先進国からの知識・技術受容プロセスを経験し、他国への知識・技術共有にも取り組む中で、独自の開発理念や方法論を培っていると思われます。
このような状況を受けて、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)は、新興国の開発協力の特徴的な理念やアプローチ、取り組みへの理解を深め、それを通じて日本の開発協力アプローチを相対化して検討することで、国際場裡で打ち出すべき日本の開発協力の特徴や、アジェンダセッティングにおける新興国との連携可能性について示唆を得ることを目的とし、「新興国との知識共創」研究会を立ち上げました。
本研究会では、新興国各国が重視する開発協力の理念やアプローチ、特徴について理解を深め、それらとの比較検討を通じて、日本の開発協力アプローチの特徴を捉え直すことを目指します。また、今後の新興国との「共創」パートナーシップの在り方や、その構築・強化に向けて取り組むべき課題や方策を検討します。そして、本研究会の活動により、今後に向けて、新興国の研究者・実務者とのネットワークを発展させていくことも目指します。
【研究会メンバー】
主査:大野泉(政策研究大学院大学(GRIPS)名誉教授、JICA緒方研究所シニア・リサーチ・アドバイザー)、亀井温子(JICA緒方研究所副所長)
JICA緒方研究所:阿久津謙太郎、折田朋美、遠藤慶、齋藤ゆかり、金潤定、竹内海人
JICA内関係者:室谷龍太郎、秋元祥恵、坪田裕美子、千住万紀子、 清水友浩、鳴海ゆきの、志村洋子、伴大地、石亀敬治、本間徹、コブチャイ・ソンシーサンガ、金田瑞希
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