Promoting livelihood diversification among rural farming households in Kenya: What role does farm forestry farmer field school play?
JICA緒方研究所について
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本研究は、2017~2020年にかけてケニアの乾燥・半乾燥地域で実施された農林業に焦点を当てたファーマー・フィールド・スクール(Farmer Field School: FFS)プログラムの影響を調査しました。具体的には、この農業普及アプローチが、干ばつに頻繁に襲われる農村世帯の生計の多様化を促進し、気候関連のショックに対する脆弱性を軽減したかどうかを検証しました。
キー・インフォーマント・インタビュー、フォーカス・グループ・ディスカッション、344世帯への聞取り調査を通じて収集したデータを用い、傾向スコア・マッチング(Propensity Score Matching: PSM)分析を実施し、FFS修了者を有する世帯と有さない世帯における生計の多様化へのFFSの影響を比較しました。本研究では、さらに回帰分析を実施し、生計の多様化と気候関連ショックによる損失の関連性を評価しました。
その結果、FFS修了世帯は、FFS修了者のいない類似世帯と比較して、収入源の種類数および販売する農林畜産物の数という両面で、より生計を多様化していることが示されました。さらに、農林畜産物の販売多様性が高い世帯ほど、最近の干ばつや作物病虫害被害による損失が小さいことも示唆されました。これらの結果は、乾燥・半乾燥地域において、FFSが気候関連ショックに対する農村世帯のレジリエンス強化に寄与する可能性を示しています。
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