終了プロジェクト
日本の国際教育協力:歴史と現状1990年の「万人のための教育(EFA)世界会議」以降、教育は、すべての分野の目標達成に資する重要な分野と認識され、今日、国際協力における重要な役割を担っています。日本においても、EFA以降、教育協力はODAの重点分野の一つとなり、日本の教育支援の取り組みについて特定のテーマに基づいた書籍が多数出版されてきました。しかし、1990年以前から行われてきた大学設立支援プロジェクトや青年海外協力隊による教師隊員派遣などを含めた日本の教育協力の歴史について、体系的かつ多角的な視点から分析した書籍は、これまで存在していません。
そこで、本プロジェクトでは、1950年代以降、日本政府、JICA、NGO、研究者などの多様なアクターが行ってきた日本の国際教育協力の歴史を振り返り、その変遷や特徴を含めた教育協力の歴史を包括的に記録するとともに、日本の教育支援が何を目指し、どのような貢献を行い、どのような課題に直面し、克服してきたのかを分析し、今後の政策策定及び実施への示唆を導くことを目的としています。この研究の成果は、書籍として2019年9月に出版されました。
書名:日本の国際教育協力—歴史と展望
編者:
萱島信子(JICA理事/JICA研究所主席研究員)
黒田一雄(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授/JICA研究所 客員研究員)
書籍の構成:
序章
「国際教育協力に対する理念的視角と世界・日本の教育協力の展開」
黒田一雄(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授/JICA研究所 客員研究員)
萱島信子(JICA理事/JICA研究所主席研究員)
第I部 国際教育協力の理念・政策
第1章
「1990年以前の国際教育協力政策——逡巡と試行錯誤の軌跡」
斉藤泰雄(国立教育政策研究所 名誉所員)
第2章
「1990年以降の国際教育協力政策——国際開発思潮と国内要因のはざまで」
吉田和浩(広島大学教育開発国際協力研究センター センター長)
第II部 基礎教育協力
第3章
「学校建設——多様なニーズに応える学び舎づくりへの挑戦」
興津妙子(大妻女子大学 准教授)
第4章
「教員の授業実践——子どもの学びの改善に向けての試行錯誤」
石原伸一(岡山大学大学院教育学研究科 教授)
川口純(筑波大学教育研究科 助教)
第5章
「行政能力強化と学校運営改善
——国際教育協力を公正で質の高い学びの実現につなげるために」
石田洋子(広島大学教育開発国際協力研究センター 教授)
興津妙子(大妻女子大学 准教授)
第III部 技術教育・職業訓練(TVET)協力
第6章
「JICAの産業人材育成——日本の人づくり協力の源流とその展開」
山田肖子(名古屋大学大学院国際開発研究科 教授)
辻本温史(JICA研究所 リサーチオフィサー)
島津侑希(名古屋大学大学院国際開発研究科 助教)
第7章
「官民連携による民間の産業人材育成
——海外産業人材育成協会(AOTS)による研修事業」
島津侑希(名古屋大学大学院国際開発研究科 助教)
辻本温史(JICA研究所 リサーチオフィサー)
山田肖子(名古屋大学大学院国際開発研究科 教授)
第IV部 高等教育協力
第8章
「高等教育機関の設立・育成——途上国に大学をつくり,育てる」
萱島信子(JICA理事/JICA研究所主席研究員)
第9章
「留学生招へい——途上国の人材育成支援と戦略的支援への展開」
杉村美紀(上智大学 副学長・総合人間学部教育学科 教授/JICA研究所 客員研究員)
萱島信子(JICA理事/JICA研究所主席研究員)
第V部 国際教育協力のさまざまな形
第10章
「国際機関を通じた国際教育協力——効果的・効率的な連携の模索」
荒川奈緒子(JICA研究所 リサーチオフィサー)
北村友人(東京大学大学院教育学研究科 准教授)
第11章
「NGOによる国際教育協力——サービス提供者から変革主体へ」
三宅隆史(教育協力NGOネットワーク/シャンティ国際ボランティア会
ネパール事務所長)
小荒井理恵
第12章
「円借款による国際教育協力
——人づくりを通じた自立発展協力と重層的な相互交流の促進」
木村出(JICA理事長室 上席秘書)
第13章
「青年海外協力隊による国際教育協力
——教育分野の取り組みと広義の社会還元の可能性」
丸山英樹(上智大学グローバル教育センター 准教授)
終章
「日本の国際教育協力の過去・現在・未来」
萱島信子(JICA理事/JICA研究所主席研究員)
黒田一雄(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授/JICA研究所 客員研究員)
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