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開催報告(ブルーステージ)「JICAクリーン・シティ・イニシアティブ(JCCI)国際セミナー2025」

※セミナーはブルーステージとグリーンステージの2会場で同時進行にて行われました。

セミナープログラム(ブルーステージ)

(注)発表資料(PDF)と動画(日本語)は下記リンク先で閲覧できます。動画(英語・フランス語)へのリンクは英語の報告ページに掲載しています。

オープニング・挨拶

宮崎 桂氏(JICA 副理事長 兼 最高サステナビリティ責任者: CSO)
土居 健太郎氏(環境省地球環境局長)

導入セッション:「JCCIのこれまでの成果と今後の展開」

柴田 和直氏(JICA地球環境部次長)

JCCIローンチ3年後の目標・成果達成状況、主要案件や顕著な成果と、今後の取組課題と方向性について紹介。

動画(外部サイト:YouTube)

セミナー(1)都市の気候変動対策とシナジーの追求

都市の気候変動対策の実施推進に向け、マスタープランの計画・実施促進、環境管理分野とのシナジー/コベネフィット追求、都市・自治体連携、企業参画や資金動員の取組みについて紹介し、議論していきます。

都市間連携を含む都市レベルの取組支援

須賀 義徳氏(環境省 国際脱炭素移行推進・環境インフラ担当参事官室インフラ推進官)

環境省では、グローバルな環境危機の解決に向けて、グローバルサウス諸国を中心にパートナー国との互恵的な協力関係を強化している。特に都市の協力は重要であり、国内の地域ごとに脱炭素や公害対策等幅広い経験や技術を有している。こうした日本の都市と海外の都市に加え、地域の民間事業者や国際機関等とも連携した都市間の連携を促進する都市間連携事業等について説明した。

都市レベルの気候変動リスク

手計 太一氏(中央大学 理工学部 教授)

東南アジア随一のメガシティ・バンコクを例に、様々な気候変動リスクをご紹介するとともに、水分野の適応策を提案した。
バンコクは沿岸低平地に位置しており、人口や資産が集中するともに、多数の観光者を迎えるため、海面上昇や内水氾濫など水害リスクが非常に高い環境にある。このような気候変動リスクが、直接的のみならず間接的にどのような影響を与えるのかをご紹介。合わせて、実践可能なハード・ソフト対策をご提案した。

タイ・バンコク都の取組み/バンコク都気候変動マスタープラン実施促進支援

ソムスック・ノップン氏(バンコク都環境局大気汚染騒音防止部 部長)
加藤 真氏(一般社団法人海外環境協力センター(OECC))

「バンコク都庁の取り組み」
バンコク気候変動マスタープランは、バンコク都(BMA)及びその他の関係者による気候変動対策の中心的な柱となっています。知事の主導のもと、JICAの能力強化協力の経験に基づいて、バンコクは取り組みを加速し、気候変動の緩和と適応における具体的な成果を継続的に増加させています。

「バンコク都気候変動マスタープランの下での官民連携パートナーシップ(PPP)資金・投資動員強化の取組について」(加藤真)
バンコク都は、JICAによる複数のフェーズにわたる技術協力を通じて、気候変動マスタープランを策定・実施を行ってきた。また、日本国環境省支援による横浜市との都市間連携プロジェクトや、「都市における環境インフラ投資案件形成のための分析ツール(APEX)」を用いた国際金融公社(IFC)の取組が加わり、温室効果ガス排出削減や気候変動への強靭性強化における民間セクターの巻き込みが強化されつつある。これらの様々な協力を踏まえ、JICAは政策のアップストリームから官民連携パートナーシップ(PPP)プロジェクト形成に向けた調査を実施した。
本発表では、調査から得られた教訓、即ち、途上国都市における気候変動マスタープラン等の上流政策を基に現場のプロジェクトを実施する際に、PPP資金及び投資がもたらすポテンシャル、またそれらを最大化するために存在するニーズやギャップ、さらに、必要となる環境整備について紹介した。

横浜市の取組み

中村 恭揚氏(横浜市 国際局グローバルネットワーク推進課 国際技術協力担当課長)

横浜市では、公民連携による国際技術協力(Y-PORT事業)を通じて、海外都市の課題解決支援に取り組んでいる。本セッションでは、横浜市内の脱炭素施策、その実践事例を活用した国際協力、市が主催する国際会議アジア・スマートシティ会議等での都市間ネットワーキング、今年度に横浜市で初開催する、一般社団法人YUSAと連携によるJICA課題別研修「脱炭素で持続可能な都市・地域開発のための自治体能力強化」について紹介した。

パネルディスカッション

【モデレーター】川西 正人氏(JICA国際協力専門員)

動画(外部サイト:YouTube)

セミナー(2)循環経済実現に向けた産官学の取組みと連携に向けて

本セッションでは、日本及び協力パートナー国の政府関係機関、民間企業、自治体、学術機関の専門家を招き、循環経済に向けた各国、各機関、民間企業の取り組みを紹介します。さらに、循環経済促進のために求められる政策課題、民間企業や市民の取組み、必要な技術(DX等)等についての提言を踏まえて、各主体の連携に向けての課題について議論していきます。

日本の循環経済推進に向けた政策について

松浦 航氏(環境省 環境再生・資源循環局総務課循環型社会推進室 主査)

アジアにおける循環経済への取組み:現状と課題

小島 道一氏(JETRアジアにおける循環経済への取り組みは、1995年頃から、日本や韓国から始まった。
インドは、2011年にE-wasteに関して、EPRを適用している。
2020年前後から、東南アジア諸国(インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム)でも循環経済に取り組むようになってきた。
また、ASEAN経済共同体は、2021年に「ASEAN経済共同体循環経済フレームワーク」をまとめている。本発表では、アジアの発展途上国における循環経済への取り組みとその課題について論ずる。Oアジア経済研究所 上席主任調査研究員)

パネルディスカッション:「循環経済に向けての国、研究者、企業の取組み及び連携に向けて」

スジトラ・ヴァサナドモングディ博士(タイ・チュラロンコン大学サステナブル環境研究所 主任研究員)

ライ・ヴァン・マイン博士(ベトナム・天然資源環境戦略研究所資源環境経済部 部長)

クリスピアン・ラオ氏(フィリピン・リサイクル・素材・サステナビリティ・アライアンス(PERMS)創業者)

北詰 一隆氏((株)エンビプロホールディングス 執行役員・海外戦略室長)

動画(外部サイト:YouTube)

セミナー(3)TICAD9に向けたアフリカの廃棄物管理への取組み

アフリカにおける都市廃棄物管理は、急速な都市化と人口増加により深刻な課題となっている。データ不足や資金調達の困難さが多くの国で共通の課題となる一方、JICAが支援する技術協力プロジェクトや民間連携事例は、持続可能な廃棄物管理の成功例を示している。本セッションでは、TICAD9(2025年8月)の開催を見据え、アフリカきれいな街プラットフォーム(ACCP)の活動成果と課題を共有し、廃棄物管理および関連する気候変動対策のさらなる推進を目指した。
廃棄物管理に関する、JICAや日本政府、国際機関による協力を紹介し、米国「平和基金会」が毎年発表する脆弱国家ランキング(https://fragilestatesindex.org/global-data/)2024年版で2位、3位にランクしているスーダン、南スーダンを取り上げ、脆弱国における廃棄物管理の改善の取組を深堀りした。

イントロダクション

【モデレーター】土畑いづみ(JICA地球環境部 環境管理・気候変動対策グループ第二チーム企画役)

TICAD9及びJICAのアフリカ協力について

峰 直樹氏(JICAアフリカ部 企画役)

1993年に始まった第1回のTICADより30年以上が経過したが、JICAによる、これまでのアフリカ協力(①経済、②社会、平和と安定)における成果、課題を振り返り、本年(2025年)のTICAD9の論点を紹介した。

アフリカにおける廃棄物管理の現状と課題

神野 志帆氏(国連人間居住計画(UN-HABITAT)準プログラム管理官)

アフリカきれいな街プラットフォーム(ACCP)は、アフリカ全域における廃棄物管理の課題と機会に取り組む上で、重要な役割を果たしている。政策、運用、財政面のギャップを特定することで、ACCPは主要な廃棄物管理関係者の知識共創と能力強化を促進し、持続可能な都市固形廃棄物管理システムの継続的な改善を推進している。
SDG指標11.6.1 のモニタリングを通じて、収集範囲の拡大、廃棄物管理施設の整備、その他の喫緊の課題に取り組む必要性が浮き彫りになっており、これらの問題に対する迅速な対応と戦略的な行動の重要性が強調されている。
ACCPは2017年にアフリカの24か国からスタートし、現在では47か国、192の加盟都市を有するネットワークへと成長している。

EIBのCOPIPプログラムに基づく、バンカブルな循環経済・廃棄物プロジェクト準備のケーススタディ

ジョイス・クル氏(欧州投資銀行(EIB)循環経済・廃棄物管理セクター 専門家)

EIB(欧州投資銀行)では、廃棄物プロジェクトへのファイナンスは十分可能だが、アフリカで金融機関の信用が得られるしっかりしたプロジェクトを見つけることには課題が伴う。EIBで6つのサブサハラ・アフリカ諸国において融資可能な循環経済・廃棄物プロジェクトを準備することを可能にした「Clean Oceans Projects Identification and Preparation (COPIP) Programme」のケーススタディを紹介した。

イントロダクション

木村 友美氏(JICA地球環境部環境管理・気候変動対策グループ第二チーム課長)

脆弱国での廃棄物管理改善の取り組み

JICAは、2011年に南スーダン共和国がスーダン共和国から分離独立して以降、両国の廃棄物管理分野の支援を行っている。
2020年初頭からは、両国において無償資金協力プロジェクトと技術協力プロジェクトを組み合わせた「プログラム・アプローチ」方式による廃棄物管理プロジェクトを開始したが、南スーダンでは政治・経済ともに不安定な状態が続いており、またスーダンでも2023年に発生した武力衝突によりプロジェクトの活動に影響が出ている。このような状況の中、両国が協力しながら進める廃棄物管理の改善に向けた取り組みについて報告した。

スーダンにおける住民主体の廃棄物収集の取組み

ゴサイ・ハムダラ氏(スーダン・環境天然資源高等評議会廃棄物管理部 部長)

南スーダンにおける料金徴収システム

ロピア・ルバン・デビット氏(南スーダン・ジュバ市議会 ジュバ市ムヌキブロック公衆衛生部 部長)

動画(外部サイト:YouTube)

ラップアップ(各セッション結果共有)

岩崎 英二氏(JICA地球環境部 シニアアドバイザー)

閉会挨拶

川村 謙一氏(JICA理事)

動画(外部サイト:YouTube)