【実施報告】2020年度 教師国内研修 第5回研修
2020.11.25
10月25日(日)、教師国内研修の第5回研修を実施しました。今回は、「多文化共生」についての学びを深めるため、鶴見地区(注1)にフィールドワークに出かけました。
今回は、「多文化共生」について学ぶために鶴見地区でのフィールドワークを実施しました。まず、NPO法人ABCジャパン(注2)の安富祖樹里氏より、外国につながる子どもの教育保障、定住外国人の自立、多文化共生の面から、ABCジャパンの活動についてご紹介いただきました。ご自身の子ども時代のブラジルから日本に移住した体験談も交えながら、日系人の保護者と子どもの関係性や子どものアイデンティティの形成についてなどをお話いただきました。
続いて鶴見の街を散策し、鶴見地区仲通りにある沖縄物産店に立ち寄り沖縄と鶴見のつながりを実感した後、同じ通りにあるブラジル食品の商店兼レストラン「ユリショップ」にて昼食をとりました。
「ユリショップ」では昼食の後、日系人である店主のユリさんにインタビュー形式にてお話を伺いました。当事者である方からの実体験を交えてのお話に参加者が多文化共生や移民について、より深く考えることができたようでした。
NPO法人ABCジャパン 安富祖樹里氏の講演の様子
その後、公益財団法人横浜市国際交流協会 鶴見国際交流ラウンジ(注3)を訪問し、館長補佐の沼尾実氏よりお話をお伺いしました。沼尾氏からは、鶴見国際交流ラウンジの活動と鶴見地区における「多文化共生」についてお話いただきました。在日韓国・朝鮮の方々、南米から移住して来られた日系人や、沖縄から移住して来られた方々など、異なる背景を持つ多くの方が住んでいる地区であること、またその中で「多文化共生のまちづくり」をどのように進めているのかを具体的に知ることができました。
参加者からは、「鶴見地区を散策してから沼尾氏のお話をお伺いし、鶴見地区の『多文化共生』についてより深く理解できた」との感想が挙げられました。
鶴見国際交流ラウンジ 沼尾実氏の講演の様子
(注1)
鶴見地区:在日韓国・朝鮮の方々、南米から移住して来られた日系人や、沖縄から移住して来られた方々など、異なる背景を持つ多くの方が住んでいる、横浜市鶴見区内にある地区。また「多文化共生のまちづくり」を行っている。
フィールドワーク中に研修参加者は1つの課題が与えられていました。それは「鶴見のまちを歩きながら、授業で使えるような写真を撮影すること」。
フィールドワーク後はJICA横浜に戻り、写真を使ったフォトランゲージの模擬授業を行いました。参加者は3つのグループに分かれ各グループが撮影した1枚の写真を使い、子どもたちにどのようなことを問いかけて、何を引き出したいのかを5分程度で発表しました。
あるグループからは、右の写真を使い、「週末にどこに行ってきたでしょうか」と問いかけ、鶴見地区にて撮影した写真であることを伝え、なぜ鶴見地区に沖縄を感じさせるものがあるのかを考える授業の導入にしたいというアイディアが出されました。フォトランゲージの模擬授業では、互いが児童・生徒になりきって行い、和気あいあいとした雰囲気となりました。今回のフォトランゲージの模擬授業を行うことで、今後の参加型ワークショップ作成のヒントやアイディアとなることを期待します。
フォトランゲージで使われた写真
その後のふりかえりの時間では、参加者より鶴見地区フィールドワークでの気づきや今後の参加型学習教材(ワークショップ)づくりに向けたアイディアなどが共有されました。第4回研修までは、オンラインや対面にてインプットを中心に学んできましたが、今回の鶴見地区フィールドワークにて、当事者へのインタビューや支援を行う方々の実体験を交えたお話を聞いたことで、ワークショップづくりの骨子となるアイディアやヒントが浮かんできたようでした。今後の研修では、子どもたちに「多文化共生」について考えるきっかけになるワークショップ作成を目指します。
教師国内研修は、これまでJICA横浜にて実施していた、教師海外研修の代替研修として本年度新たに実施されることとなった研修です。国際理解教育や開発教育に熱心に取り組んでいる小・中・高の教員のみなさんを対象に、web交流、インタビュー、フィールドワーク等を通して、日本人移民や日系人のことを知り、日本に暮らす日系人や外国人の皆さんの現状・課題を学び、その経験をそれぞれの教育現場で、児童・生徒の皆さんに伝え広げていただくことを目的として実施しています。
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