T20公式サイドイベントでアフリカの経済見通し、債務問題、日本企業の誘致策などを議論—中田チーフエコノミスト

2019.06.25

2019年5月28日、Think20(T20)サイドイベントとして、アフリカ開発銀行と日本貿易振興機構(JETRO)が共催するPre-TICAD7ナレッジイベント「アフリカの経済成長見通しと債務持続性(African Economic Outlook & Debt Sustainability)」がJETRO本部で開催され、JICAからは中田亮輔チーフエコノミストが登壇しました。

盛況となった会場の様子(写真提供:アフリカ開発銀行)

一次産品価格の低下傾向に伴い、近年、アフリカの経済成長率も低下傾向にありますが、中国、インドといった高成長国を除いた途上国平均と比べると、依然として高い成長率を達成しています。しかし、一部の国においては、非伝統的ドナー、市場性資金などの新たな資金源からの借入を大きく進め、債務状態に懸念が出ています。

このような近年のアフリカ経済の動向を背景に、T20(※)参加のために来日したアフリカ開発銀行のカピル・カプール南部アフリカ地域総局長に加え、平野克己JETRO理事、中田チーフエコノミストによるパネルディスカッションを通じ、アフリカ地域のマクロ経済見通し、日本の民間投資の展開状況、債務状況の評価など、幅広い問題を議論しました。

横山正アフリカ開発銀行アジア代表事務所長、在京アフリカ外交団副団長のアフメド・アライタ・アリ在京ジブチ大使、また紀谷昌彦外務省参事官・TICAD大使の開会のあいさつに続き、まずカプール総局長がアフリカ開発銀行による年次報告書「African Economic Outlook 2019」を用いて、アフリカ経済の現状と見通し、今後のリスクと対応策などについて基調講演を行いました。

これを受けて中田チーフエコノミストが、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの各地域における国々の債務指標と経済成長指標の変化の概観、債務指標の上昇が経済成長に及ぼす影響について論じました。また平野JETRO理事は、特に中国などの「非伝統的貸し手」の動向を踏まえ、その債務持続性への影響を、楽観的/悲観的な双方の視点において整理しました。

これらの個別報告を受けて、イベントに参加した在京アフリカ大使館や大学関係者、またT20に参加したアフリカの研究者等との間で、日本の民間企業のアフリカでのビジネス展開、近年のアフリカ諸国の改革の動向や過去の政策との違い、市場性資金へのアクセスがもつリスクへの対応策などについて、活発な議論が行われました。

基調講演を行うアフリカ開発銀行のカピル・カプール南部アフリカ地域総局長(写真提供:アフリカ開発銀行)

アフリカ、アジア、ラテンアメリカの各個別国の債務指標などについて論じる中田亮輔チーフエコノミスト(写真提供:アフリカ開発銀行)

JICA研究所ではT20における各政策に関する議論、また本イベントの成果も踏まえ、TICAD7(2019年8月28日から30日)に向けて、さらにアフリカ経済の安定的な経済成長に向けた政策議論を深化させていきます。

(※)T20(Think20)は、G20のエンゲージメント・グループの一つで、G20参加国を中心とする政策研究ネットワークにより、G20に対して政策提言を行う「アイデア・バンク」。2019年6月28、29日のG20(於:大阪)に先立ち、5月26、27日に「T20サミット」が開催された。

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