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コンゴ民主共和国におけるSARS-CoV-2血清有病率からみた感染実態に関する研究

本研究は、コンゴ民主共和国において新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査を含めた調査を行い、同国の政府機関等がこれまでに公表している調査結果と合わせて分析し、1)首都に限定せず、地方都市部も含めた新型コロナウイルス感染症の実態を把握すること、2)地理的要因、ならびに貧困等による社会経済環境と感染実態との関係性を明らかにすること、3)末端から第三次までの各レベルの保健施設における医療従事者の感染症の実態を把握すること、が目的です。

コンゴ民主共和国では検査体制が不十分なため、報告されている感染者数等が実情を正確に反映していない可能性が指摘されます。一般社会ならびに医療施設での感染症の実態を適切に把握することは、適切な医学的な感染症対策を講じるために必要です。さらに、資源が乏しく、経済的基盤が脆弱な同国において、行動制限などの社会的措置(non-pharmaceutical intervention: NPI)を過不足なく、有効かつ最小のものにとどめることも重要です。

また、保健人材不足等の保健医療サービスの提供体制が脆弱であることから、医療崩壊を防ぎ、母子保健などの基礎的な保健医療サービスの提供を維持するためにも、保健医療施設での医療従事者の感染対策は不可欠です。

本研究で得られる結果や教訓は、JICAが今後、同国のみならず、資源制約のある開発途上国でのCOVID-19に関する効果的な対策実施を支援し、院内感染対策を強化した保健医療提供体制の支援を行っていく上で、重要な示唆を与えることが期待されます。