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紛争とジェンダーに基づく暴力(GBV):被害者の救援要請と回復プロセスにおける援助の役割

紛争影響下の特殊な生活空間では、人々の脆弱性が著しく高まる一方で、加害者処罰が困難となることなどから、「ジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence: GBV)」が生じやすくなります。GBV被害は、個人の心と体に大きなダメージを与えるだけでなく、その被害を他人に伝え、助けを求めることに対する心理的・社会的障壁が高い問題です。また、紛争影響下の特殊な生活空間では、被害者が物理的、経済的にも十分なケアを受けることが困難な状況が存在します。

こうした「紛争影響下におけるGBV」被害の深刻さを問題視し、2000年に国連安全保障理事会が採択した決議1325(女性、平和、安全保障: Women, Peace and Security: WPS)は、紛争が女性に及ぼす不当に大きな影響を取り上げ、GBVを含むあらゆる形態の暴力から女性と女児を保護するための特別な措置の必要性を明記しました。これにより、和平プロセスへの女性の参画や、被害者を保護、救済する仕組みは徐々に整備されているものの、被害はいまも続いており、十分な支援が行き届いているとは言えません。また研究面においては、紛争影響下のGVB被害の実態や紛争との因果関係を分析するものが多く、GBV被害にあっても助けを求められないという状況(援助要請のプロセス)や回復プロセスについての調査や分析はあまり行われてきませんでした。

そこでJICA研究所では、紛争影響下で生じるGBVの問題と被害者支援の課題について考える研究プロジェクトを行います。具体的には、紛争影響下のコミュニティにおけるGBVに対する認識、被害者の救援要請行動および被害者周辺の人々やコミュニティによる救援活動の実態調査を行い、その結果の分析を通じて、GBV支援の具体的な改善策を考えていきます。

現地調査は、南スーダン難民が大量に流出している北部ウガンダなどで行う予定です。研究成果はワーキングペーパーや論文として随時発表してまいります。

研究領域
平和構築と人道支援
研究期間
2017年04月17日 から 2021年03月31日
主査
武藤 亜子、 川口 智恵
JICA緒方研究所所属の研究者
竹内 海人リセット・ロビレス槌谷 恒孝
関連地域
  • #アフリカ

研究成果(出版物)