2025年10月27〜31日にインドネシアのマカッサルで開かれたアジアリモートセンシング学会（Asian Conference on Remote Sensing: ACRS）第46回会議に おいて、JICA緒方貞子平和開発研究所（JICA緒方研究所）のリンバ・アンディ・ベッセ 研究員、佐藤一朗 上席研究員、成田大樹 客員研究員（東京大学大学院総合文化研究科国際環境学教育機構教授）と、日本工営株式会社の余田奈穂氏、松村明子氏、小川田大吉氏による共著論文がインドロヨノ・スシロ賞の最優秀賞を受賞しました。

同会議は、インドネシア・リモートセンシング学会（MAPIN）が主催し、アジアリモートセンシング協会（AARS）が共催しました。インドロヨノ・スシロ賞は、地理空間科学、海洋政策、アジア・太平洋地域協力の先駆者として知られる同氏の名を冠し、持続可能性の課題解決に向けて、リモートセンシングと地理空間技術を応用し、学術界、産業界、政策機関をつなぐ優れた業績を表彰するものです。

今回受賞した論文「Assessing Economic Benefit of Climate Adaptation for Urban Flooding in the Colombo Metropolitan Area, Sri Lanka」は、JICA緒方研究所のプロジェクト「都市洪水対策事業に関する気候変動適応効果の定量評価研究 」の一環で執筆されました。この論文では、複数の気候変動シナリオ下における洪水防止策の費用対効果を定量化するため、水力学モデルやリモートセンシング、経済的評価を統合しています。方法論的な厳密さ、組織を横断した連携、データに基づいた気候変動適応の計画作成を支える強い政策的意義が高く評価されました。

インドロヨノ・スシロ賞の審査委員会では、本会議を主催したインドネシア・リモートセンシング学会のアグスタン会長が委員長を務めました。審査委員には、インドネシア・セプルーノペンバー工科大学のラル・M・ジャエラニ教授、国家研究イノベーション庁のデワイアニ・ストリスノ教授、本会議の現地組織委員会委員長でハダヌディン大学准教授のイルハム・アリムディン氏が加わりました。論文は、（1）参加組織の連携の強さ、（2）科学的革新性と方法論的厳密さ、（3）社会的意義と政策的効果、（4）拡張性と地域応用性の観点から評価されました。