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国連日本政府・ノルウェー政府代表部主催セミナーで武藤専任研究員らが書籍『Resilience, Peacebuilding, and Preventing Violent Extremism』を紹介

2026.04.22

2026年2月19日、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の研究成果である書籍『Resilience, Peacebuilding, and Preventing Violent Extremism: A Complex Systems Perspective on Sustaining Peace 』の発刊記念セミナーが、国連日本政府代表部とノルウェー政府の共催により、米国ニューヨークで開催されました。同書の編者の一人、JICA緒方研究所の武藤亜子 専任研究員と、同じく編者の一人であるノルウェー国際問題研究所(Norwegian Institute of International Affairs: NUPI)のセドリック・デ・コニング 教授が登壇したほか、14の国・機関から参加者が集まりました。

写真:国連日本政府代表部とノルウェー政府の共催で開催された書籍発刊セミナー

国連日本政府代表部とノルウェー政府の共催で開催された書籍発刊セミナー

JICA緒方研究所の研究プロジェクト「レジリエンスと平和構築、暴力的過激主義に関する研究:複雑なシステムにおける持続的平和への視座 」の成果である同書では、アフリカ、アジア、中東の事例研究を通して暴力的過激主義の複雑な力学を分析し、その予防・対抗策として、社会的結束、レジリエンス(回復力)構築、適応的平和構築を中心とする平和構築アプローチを提示しています。

セミナー冒頭の山崎和之国連日本代表部特命全権大使/常駐代表による開会あいさつに続き、エリザベス・スペハー国連平和構築支援担当事務次長補は、本書の提示する平和構築アプローチの重要性について、本書の内容を引用しつつ支持を表明しました。野田章子UNDP危機局長とエイハブ・オマイシュ国連テロ対策事務所長もあいさつに立ち、本書のメッセージに対する強い共感を示しました。

写真:山崎和之国連日本代表部特命全権大使/常駐代表

山崎和之国連日本代表部特命全権大使/常駐代表

写真:エリザベス・スペハー国連平和構築支援担当事務次長補

エリザベス・スペハー国連平和構築支援担当事務次長補

写真:野田章子UNDP危機局長

野田章子UNDP危機局長

写真:エイハブ・オマイシュ国連テロ対策事務所長

エイハブ・オマイシュ国連テロ対策事務所長

次に、武藤専任研究員とデ・コニング教授が本書の概要とメッセージを紹介。武藤専任研究員は、モザンビーク、シリア、イラク、ニジェール、スリランカ、フィリピンでの事例研究について説明し、暴力的過激主義に対処するには、その排除を目的とした短期的な安全保障重視のアプローチだけでは不十分であり、持続的かつ地域に根ざし、包摂的でコミュニティーのレジリエンスを重視するアプローチが重要であると示しました。また、食料や水の不安定化といった気候変動の影響が、既存の脆弱性を一層悪化させ、社会の結束やコミュニティーのレジリエンスを弱める可能性をはらんでいると指摘。さらに、状況適応型の平和構築アプローチは、緒方貞子氏が提唱し日本の開発協力大綱の基本方針にも採択されている「人間の安全保障 」の概念と密接に関わることにも言及しました。

デ・コニング教授は、暴力的過激主義の根絶や紛争解決に対して包括性のあるアプローチが成功するか否かは、当事国政府やコミュニティーなどのステークホルダーに負う部分が大きいとした上で、国連機関やJICAなどの二国間機関にはステークホルダーの合意形成のファシリテーターの役目が求められ、多種多様な状況に対応するために事例分析の積み上げが有用だと指摘。また、本書の主張は、2025年の国連の平和構築アーキテクチャーレビューに挙げられた、予防志向のアプローチや人権・法の支配による強靭な制度・社会の構築という考え方とも親和性が高いと述べました。

写真:JICA緒方研究所の武藤亜子専任研究員

JICA緒方研究所の武藤亜子専任研究員

写真:ノルウェー国際問題研究所のセドリック・デ・コニング教授

ノルウェー国際問題研究所のセドリック・デ・コニング教授

質疑応答では、オーストラリア代表部からは「包括的アプローチのベースとなる相互の信頼関係はどのように構築していけるか?」との質問があり、デ・コニング教授は「あらゆるレベルの信頼関係は、つまるところ人と人の間に構築されるものであり、普段からできるだけ多くの人間関係を築いておくことが重要になる」と回答。ノルウェー代表部からは「さまざまなアプローチのインパクトを測るためのデータ収集・分析のほか、指標化を検討してはどうか?」と提案があり、武藤専任研究員はJICA緒方研究所が人間の安全保障ダッシュボードを開発中であると回答するなど、活発な議論が行われました。

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