最近の技術協力案件
- アンゴラ「プライマリヘルスケア施設における妊産婦ケアの質改善プロジェクト」
- ガーナ「5S-KAIZEN-TQMに焦点を当てた母子保健医療サービスの質の改善プロジェクト」
- ガボン「母子健康手帳を通じた母子継続ケア改善プロジェクト」
- グアテマラ「プライマリ・ヘルス・ケアを通じた母子栄養改善プロジェクト」
- コートジボワール「保健プログラムアドバイザー」
- シエラレオネ「中央子ども病院サービス向上プロジェクト」
- シエラレオネ「母子手帳を活用した母子継続ケア強化」
- ジョージア「母子健康手帳を活用した母子継続ケアの質向上プロジェクト」
- タンザニア「母子保健サービスの質向上プロジェクト」
- ネパール「母子手帳の活用による母子継続ケア改善プロジェクト」
- パキスタン「パンジャブ州母子保健強化プロジェクト」
- パキスタン「プライマリーヘルスケアにおける母子保健の継続ケア強化プロジェクト」
- フィリピン「バンサモロ母子保健サービス・栄養改善プロジェクト」
- ブータン「遠隔医療の体制構築を通じた母子保健強化プロジェクト」
- ブルンジ「母子保健サービス強化プロジェクト フェーズ2」
- ボリビア「保健ネットワークシステム強化を通じた母子保健サービス改善プロジェクト」
- モザンビーク「母子栄養サービス強化プロジェクトフェーズ2」
- リベリア「母子手帳を用いた母子保健医療サービスの質向上プロジェクト」
- ルワンダ「母子・地域保健サービスの質向上プロジェクト」
これまでの代表的な事例紹介
アフガニスタン
長年にわたる戦乱や自然災害によって、未だ母子の健康水準が低いアフガニスタン。2015年にJICAがインドネシアにて行った母子保健に関する研修に、アフガニスタン公衆衛生省からの研修員が参加したことがきっかけとなり、2016年6月からフォローアップ協力として母子手帳の作成・導入を支援することになりました。協力の中では、公衆衛生省を中心に複数の開発パートナーが一丸となって委員会を組織し、複数の民族が居住しているうえ、女性の識字率が10%台という社会的背景を踏まえ、イラストを多用した母子手帳を2言語(ダリ語、パシュトゥ語)で作成。その後、母子手帳の運用のための指針作成と保健従事者への研修を経て、パイロット地域で試行的導入を行いました。また、国際機関連携無償(UNICEF連携)などを通じて、全国への普及に向けて協力を進めてきました。
今後、国際機関連携無償(UNICEF連携)などを通じて、全国への普及に向けて協力を進めていきます。
アンゴラ
アンゴラでは、妊産婦死亡率や新生児死亡率は徐々に改善してきているものの、今もなお高い水準にあります。その主な原因として、妊娠中に起こる高血圧、出産時の大量出血などが挙げられます。また、自宅分娩が全体の過半数を占め、産前・産後健診を定期的に受ける人も十分ではありません。JICAは、これまでの協力において母子健康手帳の開発・導入支援などを行い、対象州における保健医療施設のサービスの質や環境の改善に取り組んできました。その結果、産前健診受診率、施設分娩率、子どもの予防接種などの保健サービス利用率において、一定の改善効果が確認されました。今後も、妊産婦ケアの質の向上と利用者の満足度の向上を図るとともに、母子健康手帳の全国展開を進め、さらに妊産婦の継続的なケア促進に向けたコミュニティ啓発活動にも取り組みます。これらの取組を通じて得られた成果を、今後のアンゴラ国の政策づくりに生かしていくことを目指します。
インドネシア
インドネシアは、JICAによる母子手帳を活用した最初の支援国の一つです。1993年から母子手帳の開発を開始し、1997年には国の標準版が完成、2006年からは全州で導入されました。30年以上にわたり、妊産婦・新生児・小児の健康向上(年間出生約450万)に向けて制度化と活用を支援しました。2007年からは、インドネシア保健省と共同で国際研修を開始し、東南アジア、中東、アフリカなど22の国と地域から320名の参加者を招聘しました。技術協力プロジェクトは2024年で終了となりましたが、2025年には、JICAの研修に参加した帰国研修員の発意により、国内向けオンラインセミナーを実施し、延べ2,500名以上が聴講、協力成果の普及に貢献しました。今後は、インドネシア政府主導のもと、国内外の母子手帳の活用促進と母子保健サービスの質の向上に資する活動展開をJICAは側面支援する予定です。
- 地方分権下における母子手帳を活用した母子保健プログラムの質の向上プロジェクト(2018年10月~2023年10月)
- 母子手帳による母子保健サービス向上プロジェクト(2006年10月~2009年9月)
- 「広がる「母子手帳」の輪 日本で生まれ、インドネシアから世界へ」
- ”International Cooperation for Maternal, Newborn and Child Health Using the Maternal and Child Health Handbook in the Republic of Indonesia”
- ”International Cooperation for Maternal, Newborn and Child Health Using the Maternal and Child Health Handbook in the Republic of Indonesia” (PDF)
ガーナ
ガーナでは長年、妊婦用の「妊婦手帳」と乳幼児用の「子ども手帳」が別々に使われてきましたが、母親の理解や行動を促す情報が十分に含まれておらず、新生児期の記録も不充分でした。こうした課題を解決するため、妊娠期から出産、子どもの成長までの母子の健康を一冊で継続的に記録できる「ガーナ母子手帳」が、JICAの協力により2018年に完成しました。
続いてJICAは、母子手帳の活用に関する研修や制度づくりを支援しました。母子保健に携わる全国の医療従事者を対象に実施した研修では、母子手帳に正確に記録することに加え、検査結果や家庭でのケアについて母親に分かりやすい言葉で説明すること、そして患者一人ひとりの尊厳を大切にしたケアを提供することを演習しました。その結果、母子手帳を活用した母親に寄り添うケアが全国に広がりました。妊婦や乳幼児の健診の受診率が向上し、家庭での適切なケアの実践も向上しています。母子手帳の管理・運用に関する規定も整備され、プロジェクト終了後は、母子手帳がガーナ政府の国家プログラムとして引き継がれ、母子の健康を支える重要なツールとして定着しています。
JICAは更に医療施設の質改善、マネジメント能力の強化を中心に、妊産婦と新生児に対するケアの質の改善のための協力を継続しています。
パレスチナ
域内外に多くの難民を抱えるパレスチナでは、JICAの協力により2005年にアラビア語版母子健康手帳作成の協力を開始し、2008年からはヨルダン川西岸のパレスチナ自治区の全公立医療機関、UNRWAやNGOの医療施設でも手帳の運用が開始されました。その後、ガザ地区と、ヨルダン、シリア、レバノンにあるUNRWAパレスチナ難民キャンプの診療所でも母子手帳が活用されています。JICAとUNRWAは、更にパレスチナ難民向けに母子手帳のスマートフォンアプリを開発し、2019年4月からヨルダンで運用を開始しています。このアプリを利用すればスマホから母子手帳の情報が確認できるほか、子どもの予防接種時期を知らせる通知も受信できます。
フィリピン
フィリピンでは、1990年代から地方分権の下で、母子手帳の支援も地方ごとに行われてきましたが、それぞれに興味深い発展をみせています。山岳地帯のコーディレラ地域では、町の分娩施設と村の保健施設をつなぎ、妊娠中に国民健康保険への加入を促す手段としても活用されてきました。東ビサヤ地域では、複数の言語で作成され、村落保健ボランティアや地域保健担当者が、きめ細かく一人ひとりの母子を見守る手段として活用されてきました。2013年にこの地を襲った台風ヨランダで、甚大な被害を受け一度は流されましたが、復興後すぐに再発行され、母子手帳の必要性が再認識されました。2025年11月からはバンサモロ自治地域で母子保健サービス・栄養改善のための支援を行っています。
ブルンジ
ブルンジでは、妊産婦死亡率や新生児死亡率が高く、2009年から一貫して母子保健分野の支援を続けています。地域の病院や保健センターにおいて、医療環境や業務の改善を行い、安全で利用しやすい母子保健サービスの基盤を整えました。また、医師や助産師など医療従事者の育成を通じて、妊娠期から出産、新生児期まで切れ目のないケアの質を向上させてきました。2013年から母子手帳が開発され、2015年には全国展開となり妊産婦および保護者は次回受診日や予防接種スケジュールを的確に把握でき、母子ともにケアの継続性が向上しました。また、母子手帳の普及により、家庭内の栄養・授乳習慣の改善を促進し、保健従事者と家族とのコミュニケーションの強化を目指しています。現在は、病院にて、緊急産科・新生児ケアの全国的な定着や母子手帳の活用を進め、ブルンジ全土で質の高い母子保健サービスが持続的に提供されることを目指しています。
セネガル
セネガルでは、母子保健の改善が依然として課題となっており、妊産婦死亡率、新生児死亡率、5歳未満児死亡率は、サブサハラアフリカの中では平均より良い状況ではあるものの、持続可能な開発目標(SDGs)の目標値と大きな隔たりがあります。同国では「国家保健社会開発計画2019-2028」で、これらの死亡率減少に向けた母子の健康状況の改善を中期目標として位置付けるとともに、SDGsの一つであるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた取り組んでいます。JICAは「母子保健サービス改善プロジェクト」を2009年から2024年まで実施し、行政・保健医療施設・コミュニティが協働して母子継続ケアと母子保健サービスの質改善に取り組み、地域医療施設や病院で女性に寄り添うリスペクトフルケアを推進してきました。この取り組みは「国家母子保健戦略2024-2028」にも正式に組み込まれたほか、「看護師・助産師の臨床実習の質向上プロジェクト」(2022-2025)を通じて、看護師・助産師の養成課程にも取り入れられました。これらの技術協力に並行し、JICAは開発政策借款「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ支援プログラム」(2016年11月L/A締結)、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ支援プログラム(フェーズ2)」(2022年6月L/A締結)による財政支援も行い、リスペクトフルケアの普及や貧困層・脆弱層を対象としたコミュニティ健康保険の推進なども進め、UHC達成に向けたサービス提供体制強化と医療保障制度整備に対する中心的取り組みとして母子継続ケアを推進しました。
カンボジア
JICAは、国立母子保健センター建設事業を端緒として、20年以上にわたりカンボジアの母子保健分野を継続的に支援してきました。2016年から2022年にかけては、「分娩時及び新生児期を中心とした母子継続ケア改善プロジェクト」を実施し、分娩時及び早期新生児ケア(INC)に関するヘルスワーカー研修体制強化、病的新生児児及び未熟児・体出生体重児のマネジメント改善、ハイリスク児と低出生体重児のフォローアップ強化などに取り組みました。これらの活動を通じ、プロジェクト対象州における新生児死亡率低減に寄与しました。