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- 【JICA留学生がつなぐ未来】 ~日本で学んだICTを、母国コートジボワールの農村開発へ~
JICA の人材育成プログラムで来日し、日本の大学院で学んだJICA留学生(*1)たち。母国へ戻った今、彼らはどのような道を歩み、日本での学びをどのように活かしているのでしょうか。彼らの「その後」に迫ります。
●●●今回はコートジボワールのボリさんをご紹介します●●●
Mr. BOLI Felix Jerome(コートジボワール出身)
神戸情報大学院大学情報技術研究科(修士課程)修了
研修コース名:ICTによる社会課題解決(DX・X-TECHの推進)
研修期間:2021年11月~2023年9月
所属先:コートジボワール農業・農村開発省
農村におけるデジタル化という課題
来日前は、コートジボワールの農業・農村開発省のIT調査・開発部門の責任者で、農村地域の発展におけるデジタル技術の可能性に着目し、ICTを活用した政策立案や実践に携わってきました。
当時、私が直面していた大きな課題の一つは、農村地域においてデジタル化がもたらす影響をどのように測定するかという点でした。特に、協同組合や社会的経済組織、農業活動の持続可能性に対して、デジタル技術がどのような効果をもたらすのかを明らかにすることが求められていました。また、単なる技術導入にとどまらず、その変革を支えるためのエコシステムの構築にも取り組んでいました。
日本への留学を決断
日本への留学は、JICAコートジボワール事務所や農村開発総局長から連絡を受けた直属の上司から紹介されたことがきっかけでした。
家族の理解と支えも大きく、妻は私の決断を後押しし、3人の子どもたちにも研修の意義を伝えてくれました。さらに、日本文化への強い関心に加え、日本における農業分野や農村地域でのIT活用を学び、その知見を母国で活かしたいという思いが、参加を決意する大きな原動力となりました。
「探究実践」での学びと研究
日本での学業生活は、非常に有意義で、多くの新たな気づきに満ちたものでした。神戸情報大学院大学(KIC)の「探究実践」講座では、実社会の課題を自ら発見し、ICTを活用した解決策を構築しながら、講義・演習・発表を通じて継続的に改善していくアクティブラーニングの手法を学びました。この経験は、思考の枠組みそのものに変化をもたらし、物事を多角的に捉える姿勢を育みました。
研究面では、コートジボワールのラ・メ地域を対象に、キャッサバ栽培と気候変動に関する課題に取り組みました。AIを活用して降雨日を予測し、最適な作付け時期を導き出すことで、収穫量の向上を目指す実践的な研究です。指導教員からの観察に基づく助言や現実的な視点は、実用性の高いプロトタイプの開発につながりました。
コロナ禍という困難な状況の中でも、多くのITの理念や技術的知見を学ぶ貴重な機会となりました。
日本での生活と文化交流
日本滞在中には、神戸、京都、大阪、名古屋、東京など各地を訪れ、明石海峡大橋、神戸海洋博物館、姫路城、大阪城といった名所を巡りました。
JICAが提供するプログラムやイベントも日本理解や地域との交流に役立ちました。JICA関西では、他の留学生や地域住民と卓球やバドミントン、バスケットボール、バレーボールなどのスポーツに親しみました。摩耶山や六甲山でのハイキングも楽しみました。また、味噌づくり体験や包丁工場の見学、奈良県十津川村での自然体験、丹波伝統工芸公園での陶芸制作など、日本ならではの文化にも数多く触れました。特に、パナソニック松下幸之助歴史館の訪問は、創業者の人生観や哲学を学ぶ貴重な機会となりました。
帰国後の実践と国際的なつながり
現在は再び農業・農村開発省において、IT調査・開発部門の責任者として勤務しています。帰国後は、業務上の課題に対し、「探究実践」講座で学んだ手法を可能な限り活用し、実践的な解決に取り組んでいます。その結果、国際的な視野を持って物事を捉えられるようになり、現在では行動に移る前に多角的・多面的な観点からの助言を求められる機会も増えています。
また、日本に滞在していたアフリカ出身の留学生や日本人の友人との交流は今も続いています。
さらに、他の留学生とともに設立したNPO法人「Japan Connect」(*2)を通じ、文化交流、ビジネス、観光、貿易を軸に、日本とアフリカの関係強化に取り組んでいます。2024年12月にアビジャンで開催された日アフリカフォーラムでは、「Japan Connect」は、コートジボワールの政府機関Fondation Jeunesse Numérique(FJN)と協力覚書(MOU)を締結しました。
学びは未来へ
本プログラムは、私の専門的スキルと実務能力を高めると同時に、世界各国の多様な背景を持つ人々と出会う貴重な機会をもたらしました。そして、日本で得た学びと人とのつながりは、今もなお、母国の農村開発と国際協力の現場で活かされています。
*1: JICA留学生について
JICAの人材育成プログラムで来日し、日本の大学院(修士課程あるいは博士課程)を通じ、母国の開発に寄与するために総合的かつ高度な技術や知識の習得を行っている、開発途上国の行政官、研究者、民間企業出身者など です。JICA留学生は、将来国の発展を支えるリーダーとなることが期待されており、また、自身の専門の研究とともに、日本の近代化の歴史を学ぶことで、日本と途上国をつなぐ架け橋となることも期待されています。
*2:NPO法人「Japan Connect」について
企業交流会等を通じたネットワーク作りなど、アフリカと日本の民間企業をつなぐ活動を精力的に展開するNPO法人。
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