JICA緒方研究所

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KOICA-JICA共催の国際ボランティアフォーラムで、青年海外協力隊の学際的研究の成果発表

2016年7月25日

アジアのボランティア組織による持続可能な開発目標(SDGs)への寄与について話し合う「第1回KOICA-JICA国際ボランティアフォーラム」が2016年7月1日、韓国のソウルで開かれ、JICA研究所の岡部恭宜客員研究員(東北大学教授)が、自身が研究代表を務める「青年海外協力隊の学際的研究」の成果を発表しました。

第1回KOICA-JICA国際ボランティアフォーラム

2015年10月に東京で開かれた国際ボランティア会議で、国際ボランティア団体が連携してSDGsに取り組むことなどを盛り込んだ「東京行動宣言」が合意されました。本フォーラムは、「東京行動宣言」の推進と、アジア地域におけるボランティア組織の知見共有、発信などを目的に、韓国国際協力団(KOICA)とJICA が共催しました。KOICA、JICA のほか、国連ボランティア計画 (UNV)、フィリピン、ラオス、タイ、ミャンマー、ネパールの政府機関、中国のボランティア派遣団体「北京市志願者連合会」、韓国のNGOなど約150人が参加しました。

岡部研究員は、4つのセッションのうち、「影響力あるボランティア活動のための知識体系の構築」のセッションに登壇し、開発におけるボランティア活動のインパクトについて、その評価と支援の在り方について発表しました。

発表する岡部客員研究員

ボランティア活動の評価では、ボランティアがどのような「変化」を、どのように、どれくらい現地にもたらしたかを測ることが重要だとし、その「変化」をキャパシティ・ディベロップメントと社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)の切り口からとらえた研究事例を取り上げました。ボランティアが、現地の人々のキャパシティ・ディベロップメントの触媒として働いた例として、JICA研究所の細野昭雄シニア・リサーチ・アドバイザーの研究「青年海外協力隊員とキャパシティ・ディベロップメント」を紹介。また、協力隊によるバングラデシュ予防接種プログラムとホンジュラスのシャーガス病対策活動に関する上田直子JICA専門家の事例研究から、隊員が、前者においては規範や信頼などの構築により、また後者ではプロジェクトに関わる現地の人々の感情(喜び、満足、自信)に働きかけることを通して、ソーシャルキャピタルの姿をかえていく役割を果たした、と説明しました。次に、ボランティア活動のインパクトのためには、事業実施組織の支援も重要であると述べ、ともに元JICA研究所研究員の佐藤峰横浜国立大学准教授と上山美香龍谷大学准教授の研究「『めげずに頑張り続ける力』はどこから来るのか-パネルデータおよびインタビューによる分析」や、山田浩司JICAブータン事務所長の研究「協力隊事業におけるJICA在外事務所の役割」の分析結果から、事業実施組織は、現地事務所からの専門的で実際的なアドバイス提供や、共同勉強会の企画、ボランティア同士のネットワークづくりの環境を整えるといった支援をすることができるとまとめました。

また、このセッションでは、KOICAから成果に基づいたボランティア活動の管理、モニタリング、評価についての発表があり、科学的根拠に基づく研究の重要性を確認しました。

フォーラムは、柳沢香枝JICA理事が、ボランティアと現地コミュニティの相互作用などボランティア事業を通じた相互作用の重要性を指摘して閉幕しました。

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