実施中プロジェクト
2030年以降の新たな国際開発目標における指標フレームワークに関する研究2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)は、全ての国が2030年までに達成を目指すべき17の目標から構成され、169のターゲットとその達成状況を計測するための231(重複を除いた数)の指標が設定されています。しかし、指標の数が多いため、全ての指標について国連にデータを提出できている国はなく、国連のSDGs進捗報告書(The Sustainable Development Goals Report 2022)によると、17の目標のうち8つもの目標において、193ヵ国・地域の半分未満の国・地域しか、国際的に比較可能な2015年以降のデータを整備できていませんでした。現在の指標フレームワークは、特に行政資源の少ない開発途上国にとっては、データの収集にかかる負担が大きく、深刻なデータ不足につながっており、SDGsの適切な進捗モニタリングとモニタリングに基づく対策の立案・実施が困難な状況となっています。また、SDGsでは、各国や地域がそれぞれの実情や政策、優先課題を踏まえてローカルターゲット・指標を定めることが当初から想定されていましたが、実際の取り組みは限定的な状況です。
このような背景を踏まえ、SDGsの目標年である2030年より後の新たな国際開発目標を検討していくにあたっては、世界全体の目標達成度の把握や各国間比較のニーズと、各国のデータ整備負担・制約の間のバランスを考慮した指標フレームワークを考案し、導入することが望ましいと考えられます。加えて、各国が世界全体の持続可能な開発目標の達成を大目標としつつも、それぞれの状況に合わせた目標を設定し、モニタリングをしていく取り組みを促進することも望まれます。
そのため、本研究プロジェクトでは、①現行SDGsのターゲット・指標を基に、より簡素な形でSDGsの全体的な進捗把握と各国間比較を可能にしつつ、国別指標の設定を推奨する指標フレームワークの提案と、②各国がそれぞれの状況を踏まえつつローカルターゲット・指標を設定する方法や課題を先行事例の分析から導き出す研究を実施します。
- 研究領域
- 地球環境
- 研究期間
- 2023年08月01日 から 2027年03月31日
- 主査
- 佐藤 一朗、 遠藤 慶
- JICA緒方研究所所属の研究者
- リンバ・アンディ・ベッセ
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