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【JICA留学生がつなぐ未来】~日本での学びを母国エスワティニの産業発展へ~

JICAの人材育成プログラムで来日し、日本の大学院で学んだJICA留学生(*1)たち。母国へ戻った今、彼らはどのような道を歩み、日本での学びをどのように活かしているのでしょうか。彼らの「その後」に迫ります。

●●●今回はエスワティニのメンジさんをご紹介します●●●

氏名:Mr.BENNETT Menzi Sydney
大学:龍谷大学経済学研究学科(修士課程)修了
研修コース名:SDGsグローバルリーダー
研修期間:2022年4月~2024年3月
所属先:Eswatini National Industrial Development Corporation (ENIDC)(*2)

エスワティニの産業発展を支える仕事~産業開発に向けた挑戦~

 みなさんは、エスワティニという国をご存じですか?エスワティニは、アフリカ南部にある王国です。豊かな自然と伝統文化を有し、近年は産業振興や経済発展にも力を入れています。写真で着用しているのは、エスワティニの伝統衣装に用いられる「リヒア」と呼ばれる布です。鮮やかな色や伝統的な模様が特徴で、体に巻いたり肩に掛けたりして身につけます。

私は来日前、ENIDCに勤務し、産業発展に向けた調査やデータ分析を行っていました。分析結果をもとに、政府の政策作りを支援するとともに、組織の業務改善にも携わっていました。
 当時、私が直面した課題は産業開発に使える予算が限られており、大規模な産業プロジェクトを実現させるための調査に使える十分な資金がなかったことです。そのため、大規模プロジェクトを進めることが難しく、雇用を増やすことや国民の生活向上につながる取り組みの拡大が難しい状況にありました。

日本留学への想い

海外の大学院で学ぶことは私の夢でした。特に日本は、海外からの投資に大きく頼ることなく産業を発展させてきた国であり、戦後の困難な状況からどのように成長を遂げたのかを学びたいと考えました。また、JICAの人材育成プログラムは、高い教育水準に加えて日本の文化や社会を深く理解できる貴重なプログラムです。大学での学びだけでなく、日本の人々との交流を通じて新たな視点や経験を得られることにも魅力を感じました。

日本での学び~教授との出会いが国際舞台へとつながる~

龍谷大学では、エスワティニにおける土地の貸し借りと家計収入の関係について研究しました。
農業が重要な産業であるエスワティニでは、農地を利用できるかどうかが、家計の収入や生活の安定に大きく関わります。一方で、近年は農家が企業に土地を貸し、その対価として配当を受け取る仕組みが広がっています。この仕組みには収入向上の可能性がある一方で、土地を手放した世帯が安定した収入を得られなくなることで、失業や生活の不安定化につながる可能性もあるためその影響を分析しました。

また、龍谷大学で指導教員との交流を通じエスワティニの経済構造や文化について紹介する機会を多くいただきました。アフリカの経済課題に関する議論にも積極的に参加し、自身の経験や知見を共有しました。研究課題では指導教員から手厚い支援を受け、その成果はベトナムで開催された国際学会で発表されました。この経験は自身の研究者としての成長や今後のキャリアにとって大きな財産となりました。
日本の産業発展の経験は、多くの開発途上国や新興国にとって参考になるものです。留学を通じて、日本では大企業と中小企業の連携や下請け制度が、中小企業の成長と持続的な発展を支えてきたことを学びました。また、外部からの支援に頼るだけでなく、企業同士が協力しながら産業全体の力を高めていく姿勢も大きな学びとなりました。

日本の魅力を知り、日本をもっと好きになる

龍谷大学が企画した見学ツアーや交流プログラムのおかげで日本文化や地域社会に多く触れる機会がありました。東京や大阪だけでなく、岡山や奈良、三重なども訪れ、それぞれの地域ならではの歴史や文化、暮らしに触れる貴重な機会となりました。こうした経験を通じて、日本の多様な魅了を身近に感じることができました。

留学経験が支える帰国後の活躍

2024年3月にエスワティニへ帰国した後は、ENIDCに復職しました。現在は研究・戦略マネージャーに昇進し、活動しています。また、龍谷大学で培った知識や研究経験を活かし、大規模な産業開発プロジェクトの実現可能性調査や投資機会の発掘、事業づくりに取り組むとともに、産業開発戦略の推進にも携わっています。
具体的には、国内の繊維・アパレル産業の競争力強化を目的とした支援プログラムを主導しました。このプログラムでは、今後5年間で30万ドルを超える資金を地元の中小零細企業や大手企業に提供し、産業の発展と雇用創出を後押しする予定です。
業務では、私は地域の方々や企業と接する機会がたくさんあるため、「生きがい(IKIGAI)」の理念を実践するように努めることを心掛けながら活動しています。日本での学びは、エスワティニの発展に貢献するための意思決定や事業推進の重要な基盤となっています。

帰国後も続く日本との絆

帰国後もJICAが主催する修了生向けの活動に積極的に参加しています。また、JICAと連携し、日本の政府開発援助を活用した国内の発展機会の創出にも取り組んでいます。さらに、大学院修了後も指導教員をはじめとする龍谷大学の教員との交流を続けており、日本で築いたつながりを大切にしています。

JICAが提供するプログラムは、スキル開発の面で私の専門性を高め、キャリア形成を大きく後押ししてくれたと確信しております 。また、自分の考えや意見に自信をもって発言できるようになりました。異なる文化や価値観に触れながら学んだ経験は、人々のためにより良い判断をする力につながっています。その恩恵は私個人にとどまらず、エスワティニの経済発展にも大きく貢献しています。

*1: JICA留学生について
JICAの人材育成プログラムで来日し、日本の大学院(修士課程あるいは博士課程)を通じ、母国の開発に寄与するために総合的かつ高度な技術や知識の習得を行っている、開発途上国の行政官、研究者、民間企業出身者などです。JICA留学生は、将来国の発展を支えるリーダーとなることが期待されており、また、自身の専門の研究とともに、日本の近代化の歴史を学ぶことで、日本と途上国とつなぐ架け橋となることも期待されています。

*2: Eswatini National Industrial Development Corporation (ENIDC)について
Eswatini National Industrial Development Corporation (ENIDC)

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