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COVID-19下におけるアフリカの産業開発とは?-「第5回アフリカカイゼン年次会合」を開催-

掲載日:2020.09.03

イベント |

概要

会議名:アフリカカイゼン年次会合
開催日:2020年9月1日(火)~3日(木)
主催:JICA、アフリカ連合開発庁-アフリカ開発のための新パートナーシップ計画調整庁(AUDA-NEPAD)

主な参加者

JICAのプロジェクト関係者のほか、民間企業、汎アフリカ生産性協会(PAPA)、アジア生産性機構(APO)、アフリカ開発銀行やUNDP、UNIDOなどのドナー、研究者を中心にアジア・アフリカ・南米の34カ国から約500名が登録、約200名が参加しました。

背景・目的

JICAは品質・生産性向上や企業競争力強化のため、アフリカにおいて日本の品質・生産性向上の手法「カイゼン」を活用した技術協力を展開しています。高まる需要に対応するため、JICAは2017年4月にAUDA-NEPADと「アフリカ・カイゼン・イニシアティブ(AKI)」を立ち上げ、大陸レベルでのカイゼンの普及展開に取り組んでいます。カイゼン年次会合はAKIの活動の一環で、関係者間の議論やネットワーキングを通じ、カイゼンを実施する政策的な意義、各国での知見・教訓を共有し、カイゼンの理解を深め、今後の活動方針を検討することが目的です。これまでにエチオピア(2016年)、ケニア(2017年)、南アフリカ(2018年)、チュニジア(2019年)で開催され、第5回にあたる今回はCOVID-19の影響で初のオンラインでの開催となりました。

内容

1.基調講演

第1日目は“The Role of Kaizen in Accelerating Industrialization in Africa:Under the Challenge of COVID-19 and Beyond”(COVID-19下のアフリカの産業化の促進におけるカイゼンの役割とこれから)をテーマにAUDA-NEPADイブラヒム・マヤキ長官による基調講演が行われました。従来のビジネスモデルが通用しないCOVID-19の影響下においては、輸入不足に対応するためマスク生産や衛生用品の国内生産をすすめるなど地域経済活性化なども求められています。イブラヒム・マヤキ長官は品質・生産性向上がアフリカの産業化の促進において重要な要因であり、COVID-19の影響を受けるアフリカ経済の復興にカイゼンは益々重要な役割を果たすことから、各国の施策に戦略的に導入していくべきであると強調しました。

2.パネルディスカッション

基調講演に続きアフリカ開発銀行産業貿易開発局Abdu Mukhtar局長、ガーナ貿易産業省国家小規模産業局Kosi Yankey事務局長、タンザニアの蚊帳メーカーA to Z Textile Mills Limited代表、JICAの本間徹国際協力専門員らをパネリストとして迎え、アフリカの産業開発における重要な要素やアフリカの経済構造転換について議論が行われました。
議論の中では、COVID-19の影響で経済活動が落ち込んで需要が減少する中、域内経済の活性化がさらに重要となる一方で資金不足によるビジネスの停滞も懸念され、品質・生産性向上に加え金融アクセスの改善を含む包括的なサポートの必要性が示唆されました。

3.カイゼンアワード

2019年に続き第2回目の開催となるカイゼンアワードでは13か国 22社の応募があり、大企業部門ではチュニジアの電子部品製造会社Eleonetech社、中小企業部門はカメルーンで機械製造を取り扱うMulti-Service Materiel Industrial S.A.R.L.U.社が最優秀賞を受賞し、同社社長の歓喜の様子がオンライン上で伝わってきました。審査員を務めた東京工業大学の長田洋名誉教授は各国でのカイゼンの取り組みの着実な深化を評価しつつ、さらに高度な取り組みや、ビジネスの拡大といった成果への期待も述べました。

4.分科会

第2日目は1)The Responses to COVID-19 and Kaizen Strategy to Reach out MSMEs、2)Strengthening the Functions of Centers of Excellence in Africa: Sharing the Experience in Asia by Asian Productivity Organization(APO)、3)Startups, Innovation and Kaizenの3分科会が開催されました。

分科会1)ではカイゼン活動を通じた「ムダ取り」や意識変容がCOVID-19下のピンチをチャンスに変え得ること、政府の減税措置や債務猶予といった施策がビジネスの継続に有効であること、これらの取り組みにより雇用維持が実現可能であることを確認しました。またCOVID-19緊急対策で作成されたカイゼンの遠隔教材(動画リンク/英仏)も紹介されました。

分科会2)ではアフリカ・アジア・中南米それぞれの地域におけるカイゼン普及展開の取り組みが共有されました。それぞれの地域ではアジア生産性機構、アルゼンチン国立工業技術院などCenter of Excellenceとなる機関が関係国と連携して品質・生産性向上を推進していることに加え、今後は大陸間のCoEが連携していく必要性が確認されました。

分科会3)ではスタートアップの成長やイノベーションにおけるカイゼンの有効性について議論されました。登壇したアフリカや日本のスタートアップ企業からは、「見える化」や標準化といった取り組みが従業員の意識変化やビジネス拡大に有効であったことが紹介され、カイゼンをスタートアップ企業への支援にも活用しうることが議論されました。

5.アクションプラン

最終日は2日目までの議論をふまえ、会合の成果文書として共同声明と2025年までの行動計画(AKI行動計画)の案が発表されました。共同声明には、カイゼン活動の着実な実施、COVID-19の影響を受ける中小企業支援の強化、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の推進などが関係国への提言として盛り込まれました。また、2025年までの達成目標や活動を定めた行動計画については、今後関係国代表による分科会を編成し、定期会合を通じてモニタリングを行うことが合意されました。

COVID-19の影響を受けて直接に顔を合わせないヴァーチャルな企画運営となりましたが、オンライン開催が功を奏し、過去最大の参加が得られる結果となりました。どのプログラムでも参加者からはマイク、チャット機能を通じて熱心に意見が寄せられ、COVID-19対策を含めた今後の活動が方向付けられる結果となり、まさに「ピンチをチャンスに」というカイゼンの精神が現れた会合となりました。今後JICAはAUDA-NEPADとともにAKI行動計画の策定・モニタリングをつうじ各国での活動を推進し、アフリカの民間セクター開発に貢献していきます。

関連ファイル

カイゼンハンドブック

資料

1.パネルディスカッション

2.カイゼンアワード

3.分科会

分科会1 COVID-19下でのビジネス継続におけるカイゼンの有効性

分科会2 アフリカ・アジア・中南米の広域でのカイゼン普及の取り組み

分科会3 スタートアップ企業の能力強化や成長のためにカイゼンが有効

本会合

4.成果文書

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AUDA-NEPADマヤキ長官はCOVID-19下よるカイゼンの重要性を強調されました。

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カイゼンアワード受賞のチュニジア企業

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カイゼンアワード受賞企業カメルーン

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カメルーンのマスク製造について

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スタートアップ企業GAXの発表

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モクタンAPO事務局長

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アジア生産性機構の機能について知見共有