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進化し続けるABEイニシアティブについて貝塚研究員がTICAD9テーマ別イベントで発表

2025.09.22

2025年8月20日、横浜で開催された第9回アフリカ開発会議(Ninth Tokyo International Conference on African Development: TICAD 9)にて、JICA、国際大学、神戸情報大学院大学が共催したテーマ別イベント「ABEイニシアティブのこれまでとこれから〜更なる架け橋人材の育成を目指して〜」が行われ、日本とアフリカの代表者が参加しました。

このイベントでは、JICA留学プログラムであるABEイニシアティブ (正式名称:アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ)の10年以上にわたる成果を振り返り、TICAD 9で正式に始動した次のフェーズ「ABEイニシアティブ4.0」(2025~2030年)について紹介されました。

開会あいさつ、ABEイニシアティブの成果に関するプレゼンテーション、事例紹介、パネルディスカッションが行われた中で、JICA緒方貞子平和開発研究所(JICA緒方研究所)の貝塚ジェームズ 研究員は、ABEイニシアティブ 3.0(2019~2025年)の定量的成果に関するデータを発表しました。このフェーズでは、戦略的な参加者選考、インターンシップの機会の拡充、日本企業との連携強化が重視されており、成功を収めたABEイニシアティブ修了生(以下、ABE修了生)の詳しい事例も紹介しました。

貝塚研究員は、JICA緒方研究所の研究プロジェクト「日本のビジネスをアフリカのビジネスに:ABEイニシアティブのインパクトを探る 」に基づき、ルワンダ、南アフリカ、エジプト、ケニア出身のABE修了生が日本企業で働く中で得た経験について分析してきました。同研究プロジェクトによる調査では、45ヵ国292人のABE修了生へのアンケートと、JICAスタッフおよび日本企業へのインタビューを実施し、ABE修了生が日本で学んだことをどのようにイノベーションと社会的インパクトにつなげたか、また、ABE修了生が持つ組織内での影響力や意思決定権の程度の違いが、ABE修了生の帰国後の活躍にどのような影響を与えたかを探っています。

写真:発表したJICA緒方研究所の貝塚ジェームズ研究員

発表したJICA緒方研究所の貝塚ジェームズ研究員

貝塚研究員は、ルワンダ出身の3人の事例を通じて、帰国後のABE修了生が社会や組織の中で意思決定できる「立場」にあるか否かによって、組織と社会へ与えるインパクトの規模が決定される、と説明しました。例えば、神戸情報大学院大学を最近卒業したEtienne Rwagatoreさんは、修士課程での研究を生かして、交通渋滞と大気汚染の削減を目的としたスマートパーキングシステムを首都キガリに導入しました。また、日本企業WiredInの元社員でシニアITマネージャーのMaterne Ntihemukaさんは、中小企業や農業部門のマイクロファイナンスへのアクセスを拡充するため、ビジネス開発基金のバックエンドシステムを開発しています。そして、第一期生のABE修了生の一人であるMugarura Amiriさんは、デジタル行政サービスの構築に携わる会社を設立し、現在その会社では、教育、法執行、セキュリティーなどの分野で使用される犯罪歴調査のデジタル化システムを作成しています。さらにこれとは別に、Amiriさんは日本企業との連携のもと、日本の避雷技術をルワンダに導入して展開する取り組みも行っています。

貝塚研究員の研究では、これまでに調査した4ヵ国全てにおいて、管理職や指導的立場にあるABE修了生は、日本で得たスキルとネットワークを活用し、地域内や国内のみならず、国際的な範囲におよぶ最大の成果をあげていることが分かり、立場が影響力を生み出すことが明確になりました。つまり、ABE修了生に実質的な意思決定権を与えることが、彼らが潜在能力を解き放ち、「翼を広げて羽ばたく」ための鍵となると貝塚研究員は主張しました。

その後のプレゼンテーションでは、ABEイニシアティブ 4.0とTOMONI Africa構想のアクションプランが検討され、人材の連携、民間セクターのパートナーシップ強化等において、ABEイニシアティブ4.0やTOMONI Africaが担うべき役割が議論されました。

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