実施中プロジェクト
アフリカへの日本の民間投資を促進する手段として構想されたABEイニシアティブ は、2013年の開始から10年以上が経過しました。日本企業は歴史的にアジア全域への事業拡大に成功してきたにもかかわらず、急速な経済成長と豊富な天然資源に恵まれたアフリカへの投資に対しては消極的で、日本の海外直接投資のわずか0.3%に留まっています。ビジネス環境の問題、リスク認識、潜在的パートナー国に関する知識や専門性の不足などの課題もあり、アフリカへの多額の投資を行う日本企業は限られています。日本は世界第4位の経済大国であるにもかかわらず、アフリカにおける日本の直接投資残高は上位10ヵ国にも入っていません。
この問題への直接的な取り組みとして開始されたABEイニシアティブは、開始以来、ビジネス、ICT、教育、農業など、多様な分野を学ぶ留学生をアフリカ54ヵ国から約1,900人受け入れてきました。このプログラムの目的は、日本とアフリカのつながりを深め、日本式のビジネスを理解する有能な人材を育成し、アフリカの産業を発展させることです。そのプログラムの中核として、留学生は、大企業から中小企業まで、幅広い分野の日本企業でインターンシップに参加します。留学生が日本とアフリカの「架け橋」として成長することで、ビジネス環境の改善やビジネス参入が容易になり、日本の民間セクターのアフリカへの関心がさらに高まることが期待されます。
本研究プロジェクトでは、エジプト、ケニア、南アフリカ、ルワンダに焦点を当て、ABEイニシアティブのインパクトを探るものです。ABEイニシアティブの特徴に応じ、起業や民間セクター開発だけでなく、農業、運輸、ICTなど、さまざまな分野におけるプログラム修了生による貢献を調査します。具体的には、個々のプログラム修了生が及ぼすインパクトに加え、JICAの定めるABEイニシアティブの目標や彼らの母国の発展に対する彼らの貢献を評価することを目的としています。また、あわせてABEイニシアティブのインパクトを最大化していく上での制約を特定します。本研究プロジェクトは、ABEイニシアティブの目標に沿って、ABEイニシアティブが社会経済面や人材育成面、さらにアフリカと日本をつなぐ架け橋としてどのようなインパクトをもたらすかを問うものです。
- 研究領域
- 人間開発
- 研究期間
- 2024年06月01日 から 2027年05月31日
- 主査
- 貝塚 ジェームズ
- 関連地域
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- 開発課題
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