jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【今月の研究ピックアップ】6月27日は零細・中小企業デー

2025.06.25

(写真:JICA/今村健志朗)

雇用、収入、地域の発展などの面で重要な役割を担う零細・中小企業。しかし、その多くは資金調達の難しさなどの課題に直面しています。そこで国連は、インクルーシブな成長と持続可能な開発の推進に重要な役割を果たす零細・中小企業への認識を高めるため、2017年に「零細・中小企業デー」 を制定しました。

JICAは、自立的な経済成長、雇用の創出・拡大、人々の所得向上を目指し、国を支える土台である民間セクターの開発に力を入れています。JICA緒方研究所でも、民間セクターの開発や、民間企業が持続可能な社会にどのように貢献できるかについて研究を実施しています。その研究成果の一部を紹介します。

書籍『For the World’s Profit: How Business Can Support Sustainable Development』

民間ビジネスによる利益の追求は、どうすれば「世界の利益」と整合し得るのか?ブルッキングス研究所との共同研究「SDGs達成に向けた民間企業による取り組みの推進」 の成果である本書籍では、企業、投資家、政府、学術界、非営利団体といったさまざまなバックグラウンドの著者14人が多様な視点から考察しています。特に第3章「Strengthening small businesses to support sustainable development 」ではサステナビリティーに向けた中小企業のキャパシティービルディングについて、第7章「Aligning international banking regulation with the SDGs 」では、バーゼルIII規制が中小企業ファイナンスに与えた影響についてとりあげています。

本書籍の概要は、以下の動画やブログでもご覧になれます↓

【YouTube】SDGs達成に向けた民間ビジネスの貢献:「For the World's Profit」書籍【JICA緒方研究所:書籍紹介】
本書の編者であるホミ・カラス 氏(ブルッキングス研究所シニアフェロー、JICA緒方研究所研究パートナー)が書籍の概要を紹介しています。

ブルッキングス研究所ウェブサイトに牧野客員研究員らが執筆したブログが掲載されました
近年のビジネス界における世界的なトレンドを紹介しつつ、注目すべき3つの論点(価値創造、リスク管理、説明責任)や、同書籍の各チャプター著者による提言を紹介しています。

書籍『SDGs、変革、質の高い成長』

世界が直面するさまざまな困難に対処するには、人間の安全保障、雇用、包摂性、持続可能性、強靭性(レジリエンス)などを目指す新たな取り組み、すなわち「質の高い成長」の実現が必要です。本書では、SDGsや変革のプロセスを念頭に、質の高い成長の本質的な属性や、「変革」と「質の高い成長」との関係について考察し、それらを実現するための戦略を議論しています。その中で、ベトナム、メキシコ、タイ、バングラデシュなどの中小企業振興の事例もとりあげています。

より詳しく知りたい方はこちら↓

研究プロジェクト「質の高い成長」にかかる研究

プロジェクト・ヒストリー『品質を追求しキルギスのブランドを世界へー途上国支援の新たな可能性「一村一品プロジェクト」』

いかに開発とビジネスをつなげ、その地域が持続的に発展できる仕組みをつくるか―。その想いで2007年から始まったのが、山岳国キルギスならではの素材を使った特産品を作り、地域の活性化とコミュニティーの再構築を目指す一村一品(One Village One Product:OVOP)プロジェクト。その軌跡を、同プロジェクトにかかわってきたJICA専門家の原口明久氏がまとめています。

関連インタビュー動画はこちら↓

プロジェクト・ヒストリー『品質を追求しキルギスのブランドを世界へー途上国支援の新たな可能性「一村一品プロジェクト」』著者インタビュー動画を公開
雄大な自然を持つキルギスの魅力、無印良品とのコラボレーションでも知られる一村一品プロジェクトでの商品化までの道のり、キルギスのモデルの日本への適用可能性などについて、著者の原口明久氏が語っています。

書籍『Translative Adaptation of Foreign Skills Formation Models: Cases of Japanese Development Cooperation in Southeast Asia』

本書は、熟練労働者や機械オペレーターといった工業化に必要な中間労働者の育成を目的とした職業技術教育・訓練(technical and vocational education and training: TVET)における日本の開発協力に焦点を当て、日本の産業開発協力がどのように相手国の実施機関の学習プロセスや知識のローカリゼーションに貢献するように実施されたか、「翻訳的適応」の観点から分析しています。その中で、ベトナム、マレーシア、タイにおける工業大学やトレーニング、技術評価システムなどの事例をとりあげています。

より詳しく知りたい方はこちら↓

研究プロジェクト日本の産業開発と開発協力の経験に関する研究:翻訳的適応プロセスの分析

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
トピックス一覧

RECOMMENDこの記事と同じタグのコンテンツ