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Employment~グローバルな産業構造と人口動態の変化が雇用に及ぼす影響~(コロンビア大学政策対話イニシアチブとの第5次共同研究)世界の雇用動向に懸念の声が高まっています。人口増加により、労働力の供給は増加しますが、それが実際の雇用創出に結びつくかという点が注目されています。特にアフリカでは、将来的に労働力人口の爆発的な増加が見込まれており、国連の中期予測で2010年から2050年の間に世界全体で労働力人口が約15億人増加することが見込まれていますが、そのうち10億人がアフリカの労働力人口の増加によるものです。これらの労働力を取り込む包括的な成長(inclusive growth)が実現できるかが重要な課題となっています。また、南アジアでも、経済の成長に伴う雇用の増加率がかつてに比べて低調で、雇用なき成長(jobless growth)となっていることが指摘されています。ロボットやAI技術の進展、新型コロナウイルスのパンデミックを踏まえた経済構造やサプライチェーンの変化、グリーンエコノミーへの移行が世界の雇用にどのような影響を与えるのかも未知数です。
JICA緒方研究所とコロンビア大学政策対話イニシアティブは、このような雇用問題についてマクロ・ミクロ両方の側面から、多角的な分析を行います。さまざまな有識者と連携し、世界的に労働需要が不足する背景、原因や対応策の検討、デジタル経済・ロボット化の進展と雇用の関係や、製造業主導の成長モデルの限界が指摘される中での他産業の将来性の検証などを行います。
〇コロンビア大学政策対話イニシアチブとの共同研究
JICA緒方研究所は海外の有識者や研究機関との連携を通じた、開発の重要課題についての研究、国際的な研究ネットワークの拡充と発信力の強化を図っています。2008年の第 4回アフリカ開発会議(TICAD IV)より、ジョセフ・スティグリッツ教授が率いるコロンビア大学政策対話イニシアチブ(Initiative for Policy Dialogue)と共同研究を実施してきました。今回のグローバルな雇用問題をテーマとした共同研究はこの第5回の取り組みとなります。第4回までの共同研究のテーマは以下の通りです。
【研究者】
ジョセフ・スティグリッツ(コロンビア大学 教授)
原田 徹也(JICA緒方貞子平和開発研究所 上席研究員)
中田 亮輔(元JICAチーフエコノミスト)
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