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【今月の研究ピックアップ】3月20日は国際幸福デー

2026.03.18

(写真:JICA/今村健志朗)

3月20日は、“幸福”を人類共通の基本的目標と位置づけ、全ての人の幸福とウェルビーイングを促進する包摂的で公平な社会づくりを呼びかける日として、国連が定めた「国際幸福デー 」です。

この考え方は、持続可能で誰一人取り残さない社会を目指す持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)の推進にも密接に関係しています。 さらに、近年は、国内総生産(Gross Domestic Product: GDP)といった経済成長の規模だけでは社会の豊かさを測れないという認識から、Beyond GDPの議論が世界的に広がり、人々のウェルビーイングや環境、社会の質を重視する枠組みが注目されています。JICAでも、人々のウェルビーイングを測る新たな評価の視点を取り入れる取り組みを開始しています。

この価値観は、一人ひとりの命・生活・尊厳を守る「人間の安全保障」を重要視する JICA緒方研究所の理念とも深く通じるものです。今回は、人々の幸福やウェルビーイングに関連するJICA緒方研究所の取り組みをご紹介します。

【チャバ・コロシ特別客員研究員インタビュー】GDPを超えて“進歩”を測る指標を見つめ直す

社会が“進歩”をどう定義し、どう測るのか?長年にわたり、GDPで測られる経済成長を過度に重視してきたものの、気候変動や格差拡大、環境悪化といった課題が深刻化する現代では、持続可能な開発を正しく評価できなくなっています。JICA緒方研究所の佐藤一朗 上席研究員は、チャバ・コロシ 特別客員研究員にインタビューを行い、「Beyond GDP(GDPを超える)」というアジェンダの起源、その課題、そして将来の展望について議論しました。

ワーキングペーパーNo.76 「Happiness in Thailand: The Effects of Family, Health and Job Satisfaction, and the Moderating Role of Gender」

本研究は、JICAが実施した電話アンケート調査に基づいて収集された分析データをもとに、タイにおける家族、健康、職業に対する満足度と幸福度との関連性について調査を行ったものです。分析結果からは、タイにおいては 3つの満足度全てが幸福度に対して正の相関を示したほか、性差が変数としてはほとんど影響を及ぼさないことが分かりました。

ワーキングペーパーNo.79 「Interdependent Happiness: Cultural Happiness under the East Asian Cultural Mandate」

東アジア圏の文化的幸福が社会経済的地位の高さによって損なわれるかを検討するため、タイの都市部と地方部から無作為抽出した社会人を対象に、「協調的幸福感(具体的には、他者との調和、平穏さ、人並みである感覚)」を測定しました。伝統的な仏教的実践と急速な経済発展の狭間で暮らすタイの人々において、客観的な社会経済的地位が協調的幸福感と負の相関関係にある一方、一般的な幸福感とは相関しないことが明らかになりました。

ディスカッション・ペーパーNo.36「Does Infrastructure Improve Human Well-being? Analysis of Japan's Subnational Human Development Index (1960–2020) 」

インフラは、人間の社会活動の幅広い範囲にわたって影響を及ぼします。日本の都道府県別人間開発指数(Human Development Index: HDI)の長期パネルデータ(1960~2020年)を新たに構築し、その分析を通じて、インフラが人間の豊かさの度合い(human well-being)にもたらす影響を検証した結果、インフラは総じてHDIに正の影響を与えていることが分かりました。

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人間の安全保障レポート「今日の人間の安全保障」第2号―複合危機下の政治社会と人間の安全保障内論考「人びとの視点からアフリカの人間の安全保障を捉え直す ―アフリカ 5 ヵ国における意識調査結果から」

本稿では、アフリカ 5 ヵ国の計 7,600 人を対象とした意識調査結果に基づき算定した人間の安全保障スコアを用いて分析し、人間の安全保障を、安全/不安全に関する人びとの意識―将来に対する不安感―の観点から捉えることにより、人間の安全保障という概念を分析概念として用いることの可能性について検討しています。

【テクレハイマノト・ソロモン・ハディス研究員インタビュー】エチオピアが抱える課題解決に向けて:子どもに対する紛争の影響、構造転換における土地所有権保障の役割を考察する

エチオピアのティグライ州で発生した紛争により、子どもたちは2年間学校に通えず、教育施設は略奪と甚大な被害に見舞われました。さらに厳しい干ばつも発生し、 特に子どもの教育と人々のウェルビーイングに長期的な影響が生じています。母国の状況を何とかできないかという想いから研究プロジェクトを立ち上げたJICA緒方研究所のテクレハイマノト・ソロモン・ハディス 研究員に、その成り立ちや意義を聞きました。

同研究員が、2025年6~7月に実施した調査を踏まえて執筆したコラムはこちら↓

もっと詳しく知りたい方はこちら↓

まもなく「今日の人間の安全保障」第3号を発刊予定です。第3号は「人間の安全保障をはかる」をテーマに、 人々の幸福やウェルビーイングにも密接に関連する人間の安全保障をどのように「はかる」ことができるかについて、一人ひとりの視点から多角的に議論しています。ご期待ください。

「今日の人間の安全保障」掲載ページはこちら↓

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