JICAは、前身である海外移住事業団から継続し、戦後の国の政策による主に中南米への移住者に対して、移住先国での定着と生活の安定を図るための支援を行ってきました。現在は、日系社会の成熟や世代交代が進んだことによる課題に対応するため、高齢者福祉や人材育成を中心とした移住者支援に取り組んでいます。
また、全世界で約360万人(うち中南米213万人)いる移住者・日系人は、さまざまな分野で活躍し、移住先国の発展や日本との「懸け橋」や「パートナー」として重要な役割を果たしています。こうした日系社会の存在が我が国とのより強い絆になっていくよう、JICAは日系社会との連携に向けた取り組みを強化しています。
JICAの移住者支援事業、日系社会との連携事業について紹介するパンフレットです。(2019年3月作成/A4版/6ページ)
下記をクリックするとPDF形式で内容をご覧いただけます
入手ご希望の方は、中南米部計画・移住課(JICA代表03-5226-6660から6663)までお問い合わせ下さい。
日系人農家の貢献により、不毛の地から世界有数の穀物地帯となったセラード。(ブラジル)
移住地で開催される運動会(ボリビア)
イグアス移住地。JICAの前身のひとつである日本海外移住振興会社の直轄移住地として設立された。(パラグアイ)
ブラジル日本移民の原点ともいえるサントスにある日本移民ブラジル上陸記念碑(ブラジル)
ベレンの日系人が運営する越知学園の授業(ブラジル)
高齢者福祉施設安らぎセンターでの健康講座(ドミニカ共和国)
一般の人々、特に未来を担う日本の若い世代に、海外移住の歴史や移住者・日系人への理解を深めてもらうことを目的に、2002年、横浜市に海外移住資料館を開館しました。
海外移住の歴史や日系社会に関する資料の常設展示、さまざまなテーマの企画展、ウェブサイトによる情報提供、調査研究を行っています。
移住者の子弟を日本に招き、学校等への体験入学やホームステイなどを通して、日本の文化・社会への理解を深め、日系人としてのアイデンティティを涵養し、次世代を担う人材を育成するプログラムを実施しています。
また、将来の日系社会を担うリーダーを育成することを目的として、日本の大学院で就学する日系人を支援するプログラムを実施しています。
移住者の定着及び生活の安定を支援するため、移住者の団体が実施する移住地診療所の運営、巡回診療、高齢者福祉事業、日本語教師の研修会などの事業に対して、助成金の交付を行っています。
移住者や日系団体への新規貸付は2005年度に終了し、現在は回収のみ実施しています。
日系社会への技術協力、活性化支援、そして日系社会を通じた相手国の発展への支援として、日系社会で移住者や日系人の人々と共に生活し、日本語教育や保健、福祉などの分野で協力するボランティアを派遣しています。
日本国内の地方自治体、大学、公益法人、NGO、民間企業などの提案により、日系社会と日本の連携に主導的な役割を果たす方(日系人に限定されない)を研修員として受け入れ、各国の国づくりへの協力と、国を超えた交流の促進を図っています。
日系社会と日本企業とのパートナーシップ促進を図るため、中南米日系社会との連携調査団を派遣しています。その結果、JICA民間連携事業である案件化調査や普及・実証事業、民間連携ボランティア、日系研修等を活用する企業も出てきています。
日本の医療技術・サービスの国際展開に資する民間企業と日系社会の連携策の検討を行い、特にブラジル日系病院を通じた医療機器・サービスの国際展開へ貢献する案件形成を図っています。
南米ボリビアにある沖縄県出身者の開拓地「オキナワ移住地」。2021年1月、オキナワで生産された大豆が入植後67年の歴史で初めて沖縄県に輸出されました。
JICAは、ボリビアと沖縄県の更なる経済交流の活性化を目指して、今後の展開や現地情報のご紹介、民間企業や大学等との連携を通した人材育成にも力を入れていきます。
※日系人が、カウンターパートやローカルコンサルタントとして個人で活躍している案件も多いですが、ここでは実施機関として組織的に連携・協力している近年の案件を掲載しています。