実施中プロジェクト

インド太平洋の平和と開発の新ダイナミクスー途上国の中国への対処ー

昨今のインド太平洋地域諸国は、米中対立が継続することで高まる政治的緊張感のみならず、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって、食糧やエネルギー分野においても大きな打撃を受け、外交および経済政策上、慎重な政治的かじ取りを迫られています。JICAのパートナーである開発途上国、なかんずくインド太平洋地域諸国は、大国が主導権を争う変化が激しい国際社会の中で、自国の国益と優先度に基づき、いかにして中国をはじめパートナーとなる大国を見定め、アプローチしているのでしょうか。

伝統的なドナー側の視点では、大国と小国の関係は主として大国が支配していると想定しがちであり、「債務の罠」論はその典型例と言えるでしょう。小国は中国の新植民地主義的な外交政策の無力な犠牲者なのでしょうか。現実には、小国と中国といった二国間関係は、両国の多様なアクター間で展開される何層にも及ぶ駆け引きが集積されて構築されるものであり、複雑かつダイナミックに変動し続けているのです。

本研究は、中国の台頭に伴い地政学的重要性を高めるインド太平洋諸国の外交政策における自律性(エージェンシー)に焦点を当て、インド太平洋諸国と中国との二国間関係に影響を及ぼす国内的・国際的要因を明らかにすることを目的としています。事例国は、フィリピン、ラオス、スリランカ、バングラデシュ、ウズベキスタン、セルビア、ザンビアの7ヵ国です。

本研究の成果は、国際的な影響力が高いジャーナル特集号および日本語の書籍として発表することを予定しています。

研究領域
政治・ガバナンス
研究期間
2022年07月08日 から 2024年03月31日
主査
志賀 裕朗
JICA緒方研究所所属の研究者
高原 明生北野 尚宏麻田 玲今井 夏子
関連地域
  • #アジア
  • #アフリカ
  • #欧州
開発課題
  • #経済政策・ガバナンス
  • #新興国

研究成果(出版物)