日本が開発協力を開始して以来、国内外の政治経済環境は大きく変化しています。歴史から学び、客観的・実証的な分析を行うことで、JICA事業を含む開発協力の将来の方向性を導く研究に分野横断的に取り組むことが今まで以上に重要になっています。

そこで開発協力戦略領域では、日本の開発協力の歴史を総括する研究や、産業開発分野を事例に日本の開発協力の特徴を探る研究、中南米移住史の研究などを行っています。

また、農業分野や国際ボランティア事業等の協力アプローチに関する研究や、外国人との共生社会の実現などの今日的な課題に関する研究を通じて、世界的に経済・社会構造が変化するなかでの国際協力のあり方や効果的なアプローチを検討します。

研究プロジェクト(実施中)

南米における日本人移民に関するトランスナショナルな歴史研究:移民事業、経済開発と文化活動を中心に

近年、外国人労働者の受け入れをめぐる議論が日本社会のさまざまな分野の中で活発になってきている。その際、外国人労働者の受け入れは、人口減少、少子高齢化や人手不足を背景とした社会と経済の諸課題への対処の文脈で議論されることが一般的である。そこでは、近代以降の日本において国境を越えて移動した人々の歴史が想起されることは極めて少ない。ところが実際には、近代日本において、旧植民地・勢力圏と内地との間で人々の移動や移住が盛んだったことに加え、ハワイや南北アメリカなどにも多くの日本人移民が渡っていった。その中でも、たとえば明治期のハワイ移民や昭和初期のブラジル移民、そして戦後の中南米諸国への海外移住のように、国策として行われた移民送出事業もあった。しかし、日本の中で、ほぼ一世紀にわたって海外へ移民を送り出した側であったことは、果たしてどれほど認識されているだろうか。本研究では、外国人労働者の受け入れをめぐる議論が進む中で、国境を越えて移動する人々と日本の国家や社会との関係の在り方とその歴史的文脈について思考を深めることを試みる。

研究期間|2021.08.24〜2025.03.31
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研究プロジェクト(終了)