日本企業の海外展開を支援−大阪の中小企業に向けて説明会を開催

2014年5月12日

製造業から経営コンサルタント、大学、財団法人など、多様な団体が参加した

多くの問題を抱えつつも、急速な経済発展を続けるアジアの新興国。現地では、単に日本の技術を学ぶだけでなく、「日本企業で働きたい」「日本企業と一緒にビジネスをしたい」という声が高まっています。日本の経済界もまた、市場や生産拠点として魅力を増しつつあるアジアに、熱い注目を寄せています。

こうした状況を踏まえ、日本センターは、設置国において産業人材を育成する傍ら、その過程で得られた情報や人的ネットワークを活用し、日本企業の現地での人材採用や、現地企業との交流などを積極的に後押ししています。

3月25日、東大阪市にある「ものづくりビジネスセンター大阪」(MOBIO)が主催するセミナー&交流会“MOBIO-Cafe”において、日本センターの説明会が開催されました。

MOBIOは大阪府によって平成22年に創設され、中小企業を対象にビジネスマッチング支援などに取り組んできました。“MOBIO-Cafe”は、中小企業同士の情報交換の促進などを目的に実施されていますが、近年は大阪でも東南アジアなどへの進出機運が高まっていることを受け、現地事情に関するセミナーなども多く開催されています。その一環として、昨年10月にカンボジア日本センターの説明会が開催されるなど、日本センターにとっても縁の深い場所です。

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夕闇せまる午後6時過ぎ。MOBIOのセミナー室には、仕事帰りと思しき企業人たちが続々と詰め掛けてきます。約30人分の席がほぼ埋まったころ、セミナーが始まりました。

田中課長

セミナー冒頭、国際協力機構(JICA)産業開発・公共政策部産業・貿易第二課の田中章久課長は、日本企業が東南アジアなどに進出する際に直面する現地人材の問題について説明。「ミャンマーやラオス、カンボジアなどでは、マネジメントなどの知識を持つ人材が圧倒的に不足している。日本企業が現地法人を設立する際も、中間管理職となりうる現地人材を見つけるのが非常に難しい」と指摘した上で、「日本センターは、日本式の経営手法を教え、生産管理の実践的なトレーニングを行うなど、現地の日本企業で活躍したり、日本企業と連携して事業に取り組める企業人を育成している」と強調しました。また、「現地で培った広いネットワークを生かし、就職フェアなどのイベントを通して、日本企業の現地人材の採用を支援している」と語りました。

藤井さん

続いてプレゼンテーションを行ったのは藤井孝男さん。日本メーカーのベトナム現地法人で社長を務めたのち、2007〜12年にかけてハノイ、ホーチミンの日本センターのチーフ・アドバイザーを歴任するなど、ベトナムに通暁したベテランです。

藤井さんは、「ベトナム人は、勉強は得意だが実践は苦手。そのため、ベトナム日本センターでは、実践重視の教育を行っている」など、日本センターの取り組みの特徴を説明しました。そのほか、ベトナム人の性格や仕事観などについて語りつつ、現地に進出する際に注意すべき点などを指摘しました。長年の経験に裏打ちされた話に、多くの参加者が熱心にメモを取りました。

セミナー終了後は、軽食や飲み物を交えた懇親会が開催されました。参加者の多くは、海外進出への高い意欲を持つ企業人たち。田中さんや藤井さんに、現地進出に関する質問を投げ掛けるほか、参加者同士でも積極的に情報交換を行いました。

懇親会であいさつをする田中課長

参加者の一人、AIU損害保険株式会社の戦略統括部シニアマネージャー・錦部賢史さんは、「当社は法人向けに、海外に渡航する社員の安全に関する保険やサービスなどを提供してきた。しかし、海外進出する中小企業が増えている中、例えば暴動による操業停止など、事業リスクに関する保険へのニーズも高まってきている」と指摘しつつ、「当社は既にそのようなニーズに応える商品を提供しているが、新たな特約やサービスを開発するため、現在、中小企業の方々にヒアリングを行っている。加えて、現地側の情報を収集することも欠かせない」と語りました。そして、「現地の情報を豊富に持っている日本センターの活用を今後、検討していきたい」と述べました。

また、中小企業の経営コンサルティングなどに取り組んでいる有限会社サミット・ラボの杉村光二取締役社長は、JICAの専門家派遣などの仕事などに携わった経験を持つ国際派ですが、「国内の市場縮小を受け、近年、関西の中小企業も海外進出への意欲が高まってきている。だが、すでに多くの企業が進出している中国などに参入するのは難しいため、カンボジアやラオスといった後発アセアン諸国などへの進出チャンスも探っておきたい。日本センターについては十分知らなかったが、現地企業との強力なネットワークがあるのは頼もしい。今後、情報収集などで活用できたら」と語ります。

懇親会の様子

多くの中小企業が新たに新興国への進出を目指す中、日本センターを通して日本企業と現地との関係強化が進むことが期待されます。