日本の大学の国際化に日本センターが貢献−日本センターと大学の連携によるグローバル人材育成について−

2014年12月1日

研修に参加したラオス国立大学の院生と名古屋大学 特任准教授今井 成寿さん(前列中央)

日本の大学の国際化が求められている中、日本センターでは長年培ってきた現地での「産・官・学」のネットワークを活用し、より実践的な海外研修のお手伝いをしております。

今回、研修の一環でラオス日本センター、カンボジア日本センター、キルギス日本センターを利用していただいた名古屋大学より「利用者の声」を寄せていただきました。

−求められる日本の大学の国際化

ここ数年、「博士課程教育リーディングプログラム(注1:以下リーディングプログラム)」や「スーパーグローバル大学(注2)」等、大学の国際化、世界で活躍できるリーダーの育成に主眼を置いたプログラムが文部科学省により予算化され、多くの国内の大学がこれに参加しています。

名古屋大学は、先日、日本中が歓喜に沸いたノーベル賞獲得に代表される「研究」を一つの大きな柱としつつも、6つのリーディングプログラムを同時に走らせグローバル人材の育成にも力を入れています。スーパーグローバル大学の採択も発表され、これら「国際化」の流れはますます加速していくことが期待されています。

−将来職業人として活躍できる人材を育成するために

筆者の所属する「PhDプロフェッショナル登龍門プログラム(注3:以下PhD登龍門)」は、リーディングプログラムの一つとして2012年度に採択され、これまで2期(40名)を受け入れています。PhD登龍門では、「異文化理解力」、「国際性と文化への理解」、「ディベート・自己表現力」、「コミュニケーション・マネージメント力」「自立的提案・解決能力」の強化を目的とした海外研修がプログラムにおいて重要な役割を果たしています。

これまでの大学の海外研修は、多くが従来から関係のあった共同研究先大学や機関と協力しつつ研修を計画・実施しているケースでした。しかしながら、PhD登龍門に求められているのは、従来のキャリアパスとは異なる将来職業人として活躍できる人材を育成するための海外研修です。したがって、将来的な就職先ともなりえる現地に進出している日本政府関係機関や民間企業、あるいは国際機関や現地政府とも積極的に交流する機会を提供する必要があり、ここに日本センターと連携する意義があります。

具体的には、日本センターと連携することで、日本センターがこれまで培ってきた現地政府機関、現地マスメディア、現地進出日本企業との友好な関係、ビジネスコース等で育成してきた講師や現地起業家、日本語コースの卒業生等が貴重な研修リソースとして活用することが可能となります。

PhD登龍門では、モンゴル、カンボジア、キルギス、ベトナム、ラオスの各日本センターと連携につき協議し、これまでのところ、2014年2月にカンボジア、7月にキルギス、10月にラオスの日本センターと協力して研修を実施してきました。

−日本センターに期待される役割

最近実施したラオス研修では、名大院生17名に加え、副学長をヘッドとする名大教職員等約20名及び現地でリサーチアシスタント(RA)として雇用したラオス人院生8名を加えた約50名の大ミッションの受け入れにご協力いただきました。研修実施に当たっては、上述リソースを活用させていただき、現地講義の手配、企業訪問のアレンジ、現地学生の募集、プレスリリースの発出等様々な形でサポートいただきました。

また、開講式や学生による最終報告会を日本センターの施設を借用し実施しましたが、JICAのTV会議システムを活用し、日本にいる院生も現地報告会に参加が可能になる等、ハード面でも連携の恩恵にあずかることができました。

さらに付け加えるならば、日本式の経理に対応したしっかりした経費処理・精算の対応が可能であることも、日本センターと連携する事務的な大きなメリットです。

ソフト面、ハード面における日本センターとの連携は、大学の現地ロジ業務の軽減という意味において多大な業務効率化をもたらす結果となり、且つこれまで大学が有していないリソースを活用した研修という意味においても非常に効果が高く、これは学内においても高く評価されています。

これからますます国際化、グローバル人材育成のニーズが高まる国内大学において、日本と開発途上国のインターフェースである日本センターの役割はさらに高まっていくことが期待されます。

末筆ながら、この場をお借りして、ラオスの木下チーフアドバイザーはじめこれまでお世話になった各国日本センターのスタッフの皆様に心より御礼申し上げます。

(執筆)名古屋大学PhD登龍門プログラム 特任准教授 今井 成寿さん

名古屋大学の山本一良副学長及びラオス国立大学のサイコン副学長による挨拶

参加した学生の4つのグループから最優秀グループを発表している場面

研修プログラム終了後、参加者全員による集合写真

ラオス日本センターのアレンジで現地進出日本企業(ミドリ安全靴工場)を訪問の際の様子

ラオス日本センターのアレンジで現地進出日本企業(ミドリ安全靴工場)を訪問の際の様子

ラオス日本センターのアレンジで現地進出日本企業(ミドリ安全靴工場)を訪問の際の様子

(注1)博士課程教育リーディングプログラム:優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、産・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進することを目的とした、文部科学省・日本学術振興会(JSPS)の事業である。

(注2)スーパーグローバル大学:我が国の高等教育の国際競争力の向上を目的に、海外の卓越した大学との連携や大学改革により徹底した国際化を進める、世界レベルの教育研究を行うトップ大学や国際化を牽引するグローバル大学に対し、制度改革と組み合わせ重点支援を行うことを目的としています。

(注3)PhDプロフェッショナル登龍門プログラム:文科省の推進するリーディングプログラムのオールラウンド型に位置付けられ、名古屋大学が2012年度より実施している。PhD登龍門は、これまでの大学院教育が研究者の育成に主眼が置かれていたのに対し、博士号を持ちながら社会の各分野においてリーダーとして実践的に活躍する職業人=「PhDプロフェッショナル」の養成を目指して、中部地域の特性である「ものづくり」に留意しながらアジアで活躍できる人材育成を目的としている。履修生は、年間約20名で学内の全研究科から研究科長の推薦を受けた修士1年生の中から選抜された日本人・留学生。履修生は、博士後期終了までの5年間プログラムに在籍する間、奨励金を受けることができる。